半導体用語集

表面プラズモン

英語表記:surface plasmon

 金属や半導体の薄膜に電子や光を照射すると,自由電子(金属)や伝導電子(半導体)の様々な励起状態を生じる。バルク中で伝導電子の負の電荷は,原子から伝導電子を取リ除いた部分(イオン核)の正の電荷と同密度存在し,正負の電荷はつり合っている。このような正負の電荷の少なくとも一方が動くことができる物質をプラズマと呼ぶ。プラズマが光や電子の刺激により,ある振動数(エネルギー)と波数ベクトルで記述される波として振動する現象をプラズマ振動と呼ぶ。特に,波数ベクトルの絶対値(波数)が0に近い時,縦波のプラズマ振動は,薄いバルク結晶において電子がいっせいに一様に変位する現象(電子の集団励起)と,その変位した電子とイオン核の静電力が復元力となった単振動現象として理解できる。その振動を量子化したものがプラズモンである。バルク中を通過する電子は,プラズモンを励起してプラズモンのエネルギーに等しいエネルギーを失う。
 表面に局在するプラズモンを表面プラズモンと呼ぶ。表面プラズモンのエネルギーは,表面での電磁気学的な境界条件により決定され,バルク中のプラズモンエネルギーの1/√2で与えられる。表面プラズモンにづいても,表面電子構造や表面フォノンのように,振動数(エネルギー)と二次元波数ベクトルとの関係(分散関係)を図で表わすことができる。波数の小さい領域で,表面プラズモンの分散を表わす曲線の傾き(単に分散と呼ぶことがある)の正負は,表面での電荷の相対的な位置に依存していて,電荷が表面より外側に存在すれば分散は負になる。
 物質に入射した光は,フォノン,不純物,プラズモンなどにより散乱を受け,入射光と異なる波数の光として観測される(ラマン散乱)。その光強度を波数の差に対して表わした図をラマンスペクトルと呼び,その波数の差をラマンジフトという。GaAsでは,不純物の量がある程度多いと,フォノンとプラズモンが結合したモードのラマンスペクトルが観察される。


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