半導体用語集

赤外吸収

英語表記:infrared absorption

多くの物質は赤外領域に化合物特有の吸収スペクトルを示すので、赤外吸収スペクトルは、未知物質の同定、定性分析、定量分析に広く応用されている。赤外線は可視光線の赤い光より波長の長い領域の輻射線である。1800年、Herschelにより太陽光線をプリズムにより分光し、寒暖計により赤い光のさらに長波長側にもエネルギーがきていることが確認され、赤外線と名づけられた。現在では、可視光線とマイクロ波の中間の波長0.77 ~1μmの範囲が赤外域とされている。波数で表わすと13,000~10cmー1が赤外領域となる。波数は、波長の逆数であり1cm中の波の数を表わしている。波数に光速度を乗したものは、光の振動数に等しい。赤外吸収スペクトルを利用する分光分析を赤外分光分析 (infrared spectroscopic analysis)という。分子の赤外吸収スペクトルは、主としてその分子の固有振動数に基づくので、分子が異なればその赤外吸収スペクトルも必す異なる。この事実を利用して、赤外吸収スペクトルによって物質の同定、定性分析などを行うことができる。現在、最も広く使われている赤外分光器は、岩塩(NaCl)プリズムを装着したもので、4,000~650cm-1 (2.5~15μm)の領域が測定できる。また、赤外吸収帯の強度(吸光度)は原則としてべールの法則に従うので、定量分析にも利用できる。その後発展した方法として、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform infrared spectroscopy: FT-IR) やATR法 (全反射減衰分光法)がある。FT-IRは、試料からの赤外領域の光を光干渉計にいれ、出てくる光の強度を可動鏡の移動距離の関数として測定し、そのフーリエ変換によってスペクトルをえるもので、高感度・高分解能測定に用いられる。


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