半導体用語集

近接効果

英語表記:proximity effect

 電子線はきわめて細く絞ることができるが,レジストに入射すると,前方散乱により,レジスト内でビーム広がりが起こる。その一方で,下地基板から180度以上の散乱角を持って跳ね返ってくる後方散乱電子がある。近接効果はこの二つの散乱電子にレジストが感光することにより生じる。電子線のレジスト内散乱により,細いパターンやパターンのコーナが露光不足となり,寸法精度が劣化したり,矩形パターンが丸くなる(パターン内近接効果)。また,パターンが互いに近くに配置されている時には両パターンから散乱される電子により,パターン外の部分が露光されてレジストパターンがひずむ(パターン間近接効果)。これらの近接効果を避けるために,パターンデータ作成の段階で近接効果補正を行う方法が用いられており,実用上問題とはならなくなっている。また,ビームの広がりが問題とならない厚さの感光層を上層にした多層レジスト構造を採用することにより,近接効果を低減する方法も開発されている。デバイスパターンの微細化に伴い,光露光においても高集積化に伴うパターン間の近接化により,光干渉による近接効果が無視できなくなってきており,高精度パターンをえるために,電子ビーム露光と同様に,近接効果補正がマスク製造の段階で行われるようになってきている。


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