半導体用語集

OF加工

英語表記:Orientation Flat marking

OFはOrientation Flat の略表記である。半導体LSIの基板材料であるシリコンは結晶の方位軸に依存する電気特性を持っている。LSIの作製において、設計どおりの性能を発揮させるには、そこに焼きつける回路パターンの方向を結晶軸の方位に合わせて作成する必要がある。このため、基板となるシリコンウェハには結晶軸の方向を示す目印が必要である。この方位を示す目印がOFであり、OF加工とは単純な円盤であるシリコンウェハの円周の一部分に、結晶の方位軸に合わせた直線の弦の切り込み加工を行うことをいう。OFの方向と大きさは、ウェハの直径や方位と併せてSEMI(Semiconductor Equipment and Materials Inter-national)やJEIDA(日本電子工業振興協会)といった業界団体によって標準化されており、OFの付与はおおむね国際的に共通の仕様に基づいて行われる。ただし、この標準は強制力を持たないガイドラインであるため、大手LSIメーカーではこの標準に準拠しない各社独自の仕様のOFを用いていることがある。OF加工は通常、円柱状のシリコン単結晶を円盤状のシリコンウェハに切り分ける前に行われる。結晶の方位軸を示す重要な指標であるため、その加工に当たっては1本1本の結晶に対してX線を用いて結晶軸の方向が精密に測定され、その測定結果に基づいて精密三次元円筒研削盤により加工される。OFは直径150mm以下のウェハ(と一部の200mmウェハ)で用いられることになっており、直径200mm以上のウェハでは同じ目的でOFに替えてノッチという小さなV溝状の切り込みが用いられている。ノッチに切り替えられた主な理由は、ウェハの大口径化に伴って、OFが切り取られることによる円盤面積の減少が1枚のウェハから少しでも多数のLSIを作製したいというデバイスメーカーの要求と相反することと、OFがあることによるウェハ形状の軸対称性の乱れがLSI製造工程中の成膜加工工程での微妙なばらつきに影響し、その度合がLSIの集積度向上によって無視できないものになってきたことによる。後者の理由からは、ノッチすら廃止し、結晶方位の目印をレーザマークによって付与する方式も提案されている。しかしながら、レーザマーク方式とした場合にはウェハ製造工程の変更と新たな設備投資が必要となること、現在のOFあるいはノッチ方式にくらべてウェハ製造の生産性が目にみえて低下することなど、ウェハ製造メーカにとってコストアップになるのに対し、ウェハのユーザーであるLSIメーカーは、このような方式変更によるウェハ製造のコストアップは、LSIの性能向上とは無関係であるとという理由から、コストアップをウェハ価格に反映させることを認めない姿勢である。このため、レーザマークによる方位表示は現時点では検討の対象といった段階であって、当面は標準化される見通しは立っていない。


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