半導体用語集

X線マスク

英語表記:X-ray mask

写真製版に用いられる原版の動きをするもので、X線リソグラフィに用いられる原版、すなわち転写する図柄 (パターン)が形成された遮光マスク。X線リソグラフィを工業化するうえで鍵となる要素技術である。X線マスクは、X線吸収体パターンが載ったメンブレン膜が窓抜きれたシリコン基板(シリコン枠)に支えられた構造になっており、シリコン基板はステッパに装着するためのガラスフレームに接着されているのが一般的である。X線吸収体パターンは、タンタル(Ta)に代表される重金属膜が0.5μmあるいはそれ以下の厚さに形成され、メンブレンはシリコンカーバイド(SiC) に代表されるX線透過性の軽元素材科からなる膜が1~2μmの薄い厚さに形成されている。製造方法は、まずメンブレンとなる膜をベースとなるシリコン基板上に LP-CVD (Low Pressure Chemi c al Vapor Deposition)を用いて形成し、 その表面に重金属のX線吸収体膜をスパッタ法で堆積した後,吸収体パターンのエッチングマスクとなる二酸化シリコン、クロムなどのハードマスクを堆積する。この段階でフレーム接着と裏側からのシリコン基板エッチングによる窓抜きを行い、その後電子ビームによるパターン描画、ドライエッチングによる吸収体パターン形成が続くメンブレンプロセス (バックエッチング先行プロセス) とウェハ状態で吸収体パターンを形成した後にシリコン基板エッチング、フレーム接着を行うウェハプロセスに分かれる。前者の方法はプロセス中のシリコン基板の扱いに難点 (メンブレンが薄いために温度制御が難しい、破損しやすいために洗浄などが難しいなど)があるもの、シリコン基板エッチングに際してのメンブレン応力の解放により発生するパターン位置歪が低減できるために、高位置精度マスクの実現のために用いられている。X線マスクと光リソグラフィに用いられる光レチクルとの違いは, X線マスクが等倍マスクであるのに対して、光レチクルはステッパの縮小倍率分 (現在は4倍のものが多い) だけ拡大パターンになっている点である。また、構造上も光レチクルは石英基板上のクロムの遮光膜パターンと強固な構造であるのに対して、X線マスクは薄いメンプレンの脆弱な構造となっている点で大きく異なる。


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