半導体用語集

そり

英語表記:sori, bow, warp

 「そり」はウェハ面のマクロな様子を示す指標の一つであり、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)およびASTM(American Society for Testing and Materials)の標準ではSORI(SEMI M1、ASTM F 1451)、warp(SEMI M1、ASTM F1390、ASTM F 657)、bow(SEMI M1、ASTM F 534)の三つが定義されている。これらは用語としては「平坦度」ではなく「形状」に区分されている。これらは、一般的な日本語の概念においてはすべて「そり」に属するものであるが、工業用語としてはそれぞれに異なる定義がされており、日本でも「そり」、「ワープ」、「ボウ」と、英語表記の音がそのまま充てられている。ただし、日本の工業標準であるJISでは、いわゆる「そり」に相当するものがJIS H 0611で三点球座という測定治具を用いる計測方式で「ボウ」という名称で定義されているのみである。JISでの名称が「ボウ」となっているのは、三点球座方式がASTM F 534に定義されており、ここでの名称が「bow」になっているためである。JIS H 0611は1971年にもともと「そり」という名称で定義していたものを、ASTM規格の「sori」との混乱を避けるために1994年に「ボウ」に改名したという経緯があり、結果的には「そり」については概念・定義と用語の対応がかなり混乱している。
 こういった問題を整理する趣旨もあり、国際的にはSEMIが1988年のSEMI M1規格改定時に形状決定ツリーという定義フローチャートを導入し、それぞれの技に対してsori、warp、bowという用語を充当(ただし、warpは複数の枝に充てられている)し、さらに混同を避けるために7文字からなるコードをつけることを提案している。
 また、日本電子工業振興協会の規格標準であるJEIDA-43では現在は「そり」のみが定義されているが(SEMI、ASTMの定義と厳密には同じではないが、ほぼ同じ)国際的に規格の整合性を向上するという趣旨もあって改定作業が進められており、ワー プとボウに相当する定義も盛り込まれ ようとしている。
 そりは形状要素であるので、LSI製造工程においては製造機器のチャックへの固定具合のばらつきによる見かけの平坦度への影響という形でLSI製造の安定性に影響を与える。また、装置によるウェハのハンドリングにも影響を与える可能性がある。こういった理由からシリコンウェハはそりを管理する必要があり、規格化されている。しかしながら、LSI製造装置で用いられるチャックの多くは、ステージ側からウェハ裏面を吸着する真空チャックか、静電気でステージに吸着する静電チャックであるため、ウェハの大口径化に伴ってチャックへの固定に対するそりの影響が少なくなってきた。また、同じく大口径化によってウェハの 厚さと直径の比が大きくなり、かつウェハ重量が大きくなっているために自重によるたわみ量がそり以上に大きくなってしまっている。このため、そりは相対的に重視されなくなってきている。
 ウェハ製造工程の観点からいうと、そりは加工の最初の工程であるスライ シングでおおむね決まってしまい、後の工程ではほとんど変化しないし修正することもできない。唯一の例外は熱処理工程で結晶欠陥が大量に生じウェハが歪んでしまう場合であるが、これは結晶品質が異常なものでない限りは熱処理工程の設計と管理で避けられるものであり、通常の生産工程で問題になることはまずない。スライス時のそりは、結晶の内部歪が開放されるような例外的なケースを除けば、スライス時の切削抵抗の変動などによって生じるものである。このため、内周刃スライサによる切断では切断の進行中に切削抵抗の変化や刃のぶれ具合をモニタし、そりが拡大しないように制御している。しかしながら、ウェハの大口径化に伴いスライス加工装置のマルチワイヤソーへの移行が進んでおり、この 方式ではそりが生じにくいこともあって、現在ではそりが問題になることは少なくなっている。

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