半導体用語集

はんだめっき

英語表記:solder plating

 半導体パッケージのリードの外装処理方法の一つ。パッケージのアウタリードに,はんだ濡れ性と防錆性を与える。はんだめっぎは,一般に,電解めっき法で行われるため,リードがリードフレームと電気的にショートした状態でなければ加工できない。そのためリードを切り曲げするトリムアンドフォーム工程の前で行われる。
 はんだめっきに使用されている材料はスズ-鉛合金である。これは現在実装で用いられているスズ-鉛はんだ(ペースト)に対して非常に濡れ性がよいこと,防錆性が優れていること,また曲げ工程での延展性がよいこと,安価であることが理由としてあげられる。まためっき性について考えれば,スズと鉛の標準電極電位が近いため,めっき浴は単純な酸性浴でよく,アノード(陽極)にスズ-鉛合金をそのまま使用できるという長所がある。近年,電機業界全体で鉛を使わないはんだ材料(鉛フリーはんだ)への切り換えを検討し始めている。今後,スズ-鉛はんだに代わる新しい材料が,半導体リードめっきの主流になってくると予想される(たとえば,パラジウムめっき,スズ-銀めっき,スズ-ビスマスめっきなど)。
 めっき厚については5~20µm程度つけるのが一般的である。しかし,銅合金リードフレームの上につける場合は,めっき後の熱処理の時間を考慮する必要がある。高温下では銅-スズ合金の生成が非常に速いため,はんだめっきの主成分であるスズがリードフレーム中に拡散し,濡れを維持するために必要なめっき厚が失われる可能性があるためである。
 はんだめっきの工程は,下記のとおりである。
 脱脂→水洗→化研(活性化)→水洗→プレディップ→めっき→水洗→中和→水洗→湯洗→乾燥
 
 はんだメッキの各工程の役割について説明する。
①脱脂
リードフレーム上に付着した有機物(手の脂など)を洗浄除去する。
②化研
リードフレーム表面の酸化膜や加工変質層をエッチングにより除去する。
③プリディップ
リードフレームをめっき液と同じ薬液につけてなじませる。
④はんだめっき
リードフレームを陰極としてめっきを析出させる。
⑤中和
リードフレームに残留しためっき液を中和し,めっき表面を清浄にする。

 半導体製品の代表的めっき方式として,ラックめっきとバレルめっきがある。ラックめっきはラックと呼ばれる吊し治具にリードフレームを引っかけてラックごと工程を移動させて作業を進める方式である。ラックの引っかける部分がリードフレームとの導通を取る部分になっており,それ以外の部分はめっきが析出しないよう非導通材料で被覆してある。リードフレームに与えるダメージが少なく,ファインピッチのようなデリケートなパッケージ群に適する。しかしリードフレームをラックにかけたり,外したりする手間が必要であるため,人件費がかかる。ラックの取り数, リードフレームの電極の取り方,ラックに対するアノードの配置などを考慮して最適に設定すれば,ばらつきの小さい均ーな膜厚をつけることも可能である。
 バレルめっきは,バレル(樽)をめっき液中に入れ回転させながら通電し,バレルの中に入れた製品をめっきする方式である。リード部と電極との接触が偶発的であり,めっき厚の安定性はラックめっきに劣る。また電流密度を低くしなければならないため,所定の厚さのめっき厚をえるまでに長い時間を要する。バレルが回転する際にパッケージやリードにダメージを与えるため,ファインピッチや大型のパッケージには使えないが,小型の部品を大量にめっきしたい場合には適している。
 めっき被膜の評価項目として,濡れ性(メニスコ試験,はんだなじみ試験),耐熱・密着試験,防錆試験(塩水噴霧試験),めっき膜厚,被膜組成(蛍光X線法)があげられる。また外観検査の不良項目としてシミやムラ,膨れ,未着,ヒゲ(異常析出)があげられる。


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