半導体用語集

エキストリンシックゲッタリング

英語表記:Extrinsic Gettering : IG

ウェハにゲッタリング能力を付与する手段は大別してIntrinsic Gettering(内部ゲッタリング)とExtrinsic Gettering(外部ゲッタリング)の二つに分類される。それぞれの処理を施されたウェハをそれぞれ IGウェハ、EG ウェハと呼ぶことがある。裏面加工歪層を付与したウェハ(いわゆるBSD処理ウェハ)はEGウェハの一つであり、DZウェハ、 Hiウェハ (水素処理ウェハ、Hiウェハは厳密には東芝セラミックス(株)の水素処理ウェハの商品名 )、Magic DZ Wafer (空孔[Vacancy]濃度の分布を制御してDZウェハと同様の構造を形成したウェハ,厳密にはMEMC社の商品 名)などはそれぞれIG ウェハのバリエーションの一つである。IGウェハは一般的に熱処理と熱処理の際の雰囲気制御によって作成する。
Extrinsic Gettering処理には機械的なダメージによる加工歪層を用いる裏面ダメージ加工による方法と、結晶 粒界およびこれに伴う格子歪に不純物 が集まりやすい性質を用いる裏面ポリ シリコン(back side polysilicon)法、不純物濃度の違いによる結晶格子の歪や偏析現象をゲッタリングに利用する裏面リンガラス(phosphorus silicate glass)法がある。裏面に加工ダメー ジ(backside damage)を付与するBSD法には、ホーニング法(用語としてはサンドブラスト法とホーニング法とはやや定義が異なるが、実質的には同じ)とスクラッチ法があるが、今日一般に用いられているのはホーニング法である。また、レーザゲッタリング法というウェハ裏面をレーザ光線で溶融することにより、アモルファス化あるいは多結晶化してゲッタリングに利用する方法もある。今日、商業的に広く用いられているエキストリンシックゲッタリングの方式はBSD法と裏面ポリシリコン法である。ゲッタリング処理の目的は、LSI製 造の途上でのウェハの取り扱いや環境 雰囲気などから入ってくる、LSIの動 作性能や信頼性に悪影響を及ぼす不純物(主にアルカリ金属と重金属)や、これらに起因するマイクロシャローピットやOSFなどの結晶欠陥を、特殊な 工夫によってシリコンウェハ中でLSIに使わない部分に吸収させてしまい、その悪影響を避けることである。しかしながらエキストリンシックゲッタリング加工そのものも前に述べたように、ダメージ(欠陥)や不純物を導入する行為であり、ウェハの品質を低下させたりLSI製造プロセス中で悪影響を及ぼす可能性を持っている。つまり、エキストリンシックゲッタリングという手法は,いわば毒を以って毒を 制すといった性格の技術である。したがって本来LSI製造工程に投入され る素材としてのシリコンウェハが十分に清浄であり、かつ、LSI製造プロセス自体も十分清浄に維持されていれ ば,このようなゲッタリング処理は不要のものである。こういったゲッタリング処理は本質的に必要な加工工程というわけではなく、いわば保険的な位置づけで取り入れられているものである。


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