半導体用語集

オーミック接触

英語表記:ohmic contact

 半導体などに金属電極を形成し、その電流-電圧特性が直線(オーム性)となる接合をオーミック接触と呼ぶ。半導体デバイスと外部回路、配線とを結びつける必須の要素である。半導体バルクによる直列抵抗にくらべ、十分小さな接触抵抗を持つ接触が望ましい。いい換えれば、デバイス動作時に、接合部での電圧降下、電力損失が無視できることが要求条件である。オーミック接触の性能指数は、次式の固有接触抵抗で表わされる。
  rc≡(∂V/∂I)ᴠ₌₀ (Ω·cm²)
 固有接触抵抗の測定にはTLM法がよく用いられる¹⁾。
 良好なオーミック接触をえる手法として、金属電極の種類を選ぶことによりショットキ障壁高さを低くする、半導体表面を高濃度にドーピングすることにより、空乏層厚さを薄くしてトンネル電流を増加させる手法があげられる。実際の電極形成プロセスは、二つの手法に大別できる。一つはノンアロイ接触と呼ばれるもので、半導体表面にイオン注入法、 またはエピタキシャル成長法で高いドーピング濃度を有する層を形成(バンドギャップがバルク半導体より材料だとさらによい)した後、電極金属を蒸着する。もう一つは、ドーピング原子を含んだ電極材料を半導体表面に蒸着した後、熱処理を行い、界面反応に伴う固相拡散で界面近傍を高濃度にドーピングする手法である。
 SiLSIにおけるオーミック電極材料は、Al、Al+1~2%Si、Ti、Mo、Wなどの高融点金属、およびそれらのシリサイド、TiNなどが用いられている。p⁻またはn-Siの表面を10²⁰cm⁻³程度に高濃度ドーピングし、400~600℃のアニールを行うことにより、10⁻⁷Ω·cm²台のオーミック接触が形成される。GaAsを代表とするⅢ-Ⅴ化合物半導体ではn型に対してAu-Ge/Ni、p型に対してAu-Znがよく用いられている。いずれも500℃程度のアニールを必要とする。GaAsと電極間に高濃度にドーピングされたGaAsよりバンドギャップの狭いGe、InGaAsを介在し、ノンアロイ接触を形成する手法も有効である。
 電極に対しては、前述の電気的特性以外に、半導体および配線材料との密着性、機械的、熱的安定性、耐腐食性が高いことが要求される。

参考文献
1) H. H. Berger: J. Electrochem. Soc., 119, p.507 (1972)


関連製品

二次元電子ガスを有さない薄層AlGaN/GaNヘテロ構造へのオーミック接触に対する多端子ホール測定

グローバルネット株式会社

アドバンテスト研究所、瓜生 和也

自治体・省庁・研究機関・団体 › 応用物理学会


関連用語

関連特集

「オーミック接触」に関連する特集が存在しません。




会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。