半導体用語集

ショットキ障壁

英語表記:Schottky barrier

 金属-半導体界面について考える場合、界面でキャリアに対してポテンシャル障壁が形成される。この障壁を初期の研究者Schottkyの名にちなんでショットキ障壁と呼ぶ。また、半導体などに金属電極を形成し、その電流-電圧特性が整流性を示す場合をショットキ接触と呼ぶ。図1に金属-n型半導体のエネルギーバンド図を示す。
(a)仕事関数фₘの金属と表面準位のない理想的な表面を持つ電子親和力Xsのn型半導体が離れて存在している場合、両者のフェルミレベルEғが異なり、バンドはフラットである。
(b)両者が接合すると、Eғが一致するようにキャリアが移動し、結果としてバンドに曲がりが生じる。金属側からみた電子に対するショットキ障壁高さqфʙは、
  qфʙ=qфₘ-qXs
で与えられる。これをショットキ限界という。一方、実際の半導体表面には表面準位が存在し、ある特定のエネルギーレベル近傍にEғが固定される(ピンニング)という傾向がある。金属との接合を形成する前に、バンドの曲がりが完了しているため、金属の仕事関数に障壁高さが依存しない。これをバーディーン限界という。障壁高さの仕事関数依存性を表わすのに、界面定数Sは、
  S=∂фʙ/∂фₘ
が用いられている。S=1でショットキ限界、S=0でバーディーン限界である。元素半導体(Si、Ge)、およびⅢ-Ⅴ半導体(GaAs、InPなど)ではS=0.1程度であり、強いピンニングが観察されている。一方、イオン結合性の強いⅡ-Ⅵ半導体(ZnSe、Cdなど)では0.5以上の大きなSの値がえられている。ショットキ障壁の形成機構については50年以上の議論がなされ、多くのモデルが提案されてきたが、実験結果を統括的に説明できる解釈はいまだにない。
 ショットキ障壁を測定する手法はいくつか確立しているものがある。(1) 電流-電圧(I-V)特性を片対数でプロットし、直線部分の外挿からqфʙとn値を求める。(2)ある順方向電圧下で温度Tを変えながら電流Jsを測定する。log(Js/T²) を温度の逆数に対してプロットし、qфʙと、リチャードソン定数を求める。(3)逆バイアス下で空乏層容量を測定し、1/C² vs Vプロットからqфʙを求める。(4)光子工ネルギーがバンドギャップ以下の光を界面に照射し、内部光電子放出電流を測定する。内部光電子放出電流の平方根と光子エネルギーとの関係をプロットし、qфʙを求める。また、表面分析的手法として光電子分光法でもqфʙを求めることができる。

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