半導体用語集

界面準位

英語表記:interface state

 半導体のヘテロ接合の界面や金属との界面では,一般に,結晶構造の違いや成長方式の不完全さなどにより欠陥,構成元素以外の原子による汚染,ダングリングボンドなどにより,バルクの電子状態とは異なるエネルギー位置に存在する電子状態(界面準位)が存在する。バンドギャップ中に界面準位が存在すると,表面準位の場合と同様に,界面付近の不純物原子から界面準位へ電子が移動し,その静電ポテンシャルのために界面付近の伝導帯と価電子帯はバンドベンディングを受け,また,界面のフェルミ準位がピニングされる。さらに,界面付近のキャリアの移動度が界面準位により散乱をうけるなど,界面準位がデバイス特性に与える影響は大きい。
 シリコンと酸化シリコンとの界面は,比較的良好な界面特性を示し界面準位の密度も小さいが,化合物半導体の界面は,一般に界面準位密度が高い。超高真空中で劈開したGaAs表面ではフェルミ準位ピニングがみられないが,わずかな吸着原子によりすでに表面準位が生成して,その後界面を形成しても高い界面準位が残ってしまうといわれる。GaAsの金属-絶縁体-半導体(MIS:Metal Insulator Semiconductor)FET構造では,界面準位密度が高く,フェルミ準位がピニングされるために,電界効果による伝導帯と価電子帯のバンドベンディングの制御ができず,FET動作を示さない。
 へテロ接合の界面で格子定数が一致しない場合に,界面における原子間隔の不一致による格子欠陥が存在し多数の界面準位が発生する場合がある。界面準位密度がきわめて高い場合には,ちょうど両半導体間に金属の薄膜を挟んだような等価回路になり,ヘテロ接合の特性を活かせない場合がある。GaAsでは,バンドギャップの下から約1/3のエネルギー位置に高い密度の界面準位が存在するので,金属との界面では,金属の仕事関数にはあまり依存せずに約0.8eVのショットキ障壁を生じる。


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