半導体用語集
ストレス誘起リーク電流
英語表記:Stress-induced Leakage Current : SILC
10nm以下の酸化膜に高電界をかけて電流を流した後に、電流ー電圧特性を再度測定すると、1回目には観測されなかった低電圧領域でリーク電流が観測される。これがストレス誘起リーク電流である。この現象は、10nm以下の膜厚になって初めて顕在化されてきて、特にフラッシュメモリで深刻である。フラッシュメモリでは、書き込み、消去に非常に高い電界が酸化膜にかかる。一方、データを読み出す時には、小さい電界をかけてFET特性のしきい値変化をみる。つまりデータを書き込んだ後にデータを読みに行った場合に、低電界でのストレスリークによってデータが破壊されてしまうおそれがある。また放置している時にデータが消えていってしまうおそれがあ る。これらは不揮発性メモリにとっては致命的であり、現在でもトンネル酸化膜の薄膜化リミットはこれによって支配されている。このストレス誘起リーク電流は、通常頭文字をとってSILCともいわれ薄膜化とともに顕著になり、印加される電界が高いほど顕著になる。このリーク電流の機構に関しては、現在きわめて活発に研究がなされている。酸化膜中にストレスをかけることによって欠陥が形成されて、そこを経由したトンネル確率が増加するのがSILCの起源と考えられる。現象論的ではあるがいくつかの興味ある結果が報告されている。薄膜化とともにSILCは顕著になるが、電界を下げてくると、ある膜厚でピークを持つ。具体的には10MV/cm程度の電界では、4~5nm当たりの膜厚でピ ークを持ち、それよりも薄い膜では逆にSILCは減ってくる。欠陥はエネルギーの高い電子によって形成され、一定電界のストレスでは酸化膜が薄くなると印加される電圧が減少して電子のエネルギーは減少する。その結果として欠陥生成が抑えられSILCが抑えられると考えられている。また、微視的なトンネル伝導機構に関して欠陥を経由した非弾性的トンネルであることが実験的に報告されている。これは入射される電子のエネルギーとストレスリークで出射される電子のエネルギーを比較して決めたものである。また、SILCの温度依存性も調べられており、ほぼストレスを与える時の温度がSILCの量を決めており、測定温度はあまり電流値を変えないことも、欠陥生成とそれを通したトラップアシストトンネル電流ということを示す。同じ電荷注入量の場合でも、電界を高くして時間を短くした場合と、電界を下げて時間をかけて電荷を一定撤流した場合を比較すると、前者の方がSILCの効果は大きいことがわかっており、このこともSILCを引き起こす欠陥生成のためには、あるエネルギーしきい値が存在することを示している。
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