半導体用語集
信頼性
英語表記:reliability
MOSFETあるいはMOSLSIの開発の歴史は、酸化膜の信頼性との戦いであったといっても過言ではない。MOSFETのゲート絶縁膜が破壊されていた、あるいは使っているうちに破壊したという場合、このMOSFETはもう使えないわけであり、またLSIとしても一部のスイッチが機能しないわけであるから、LSI全体として致命的である。絶縁膜に限らず、およそ電子デバイスにおいて一般的に信頼性は最も重要なアイテムである。特に電子デバイスは多くの精密制御に使われていることもあり、LSIというシステムにおける信頼性不良は予測不可能なくらいの致命的な結果に導く。酸化膜に関係した部分に限ってみると相互の関係は別にして現象論的には、絶縁破壊、電荷捕獲によるフラットバンド電圧のシフト、界面準位生成によるモビリティ劣化、ストレス後のリーク電流の増大(ストレス誘起リーク電流)などがあげられる。さらに、研究としては歴史が古い放射線による酸化膜中での電子一正孔対生成による劣化もある。絶縁破壊のような0,1の信頼性の破たんに関しては、一般的に時間に対して、いわゆるバスタブカーブを描くとされる。まず初期不良があるが、それは急激に時間とともに減少し、さらに故障確率が小さくほぼ一定の偶発領域になり、最後に使用されている材料に本質的な磨耗不良領域に入り込み、故障確率が急激に立ち上がる。実際に使うのは、バスタブの底の部分であり、この部分の故障確率をいかに落とし、いかにその幅を広げるかというのが信頼性向上のキーである。酸化膜に関する限り、磨耗不良と呼ばれる部分が一定膜厚なら一定かというとそうではなく、酸化膜の形成方法、処理に依存する。酸化膜は結晶ではなくアモルファスであり、エネルギー的には準安定状態にあり、どういうような準安定状態であるかは製法によるわけで、それによって磨耗不良の起こり方も異なると考えられる。その意味で酸化膜の信頼性を上げるということは、絶縁破壊でいえば、偶発不良をいかに下げ、磨耗不良の起こる時間をいかに上げるかという二点にかかっている。一般的には、磨耗不良の時間を改善すれば、それだけ膜としてよくなったことを意味しているので偶発不良も少なくなるであろうと考えるが、これらの間のミクロな関係は明らかではなく、実際にこれとは反対の結果もえられることがある。その意味ではここは注意すべき点である。また、信頼性は本質的に確率的・統計的に取り扱うべきアイテムであり、ミクロなポイントデータ的欠陥描像を理解することが信頼性改善に必ずしも繋がらない点が多い。従来は、酸化膜でいえば、前処理を含めた清浄度の改善が信頼性を向上させるすべてであった。これはウィークスポットをおさえ、偶発不良をいかに減らすかという取り組みであった。しかしながら、現在の酸化膜厚、あるいは信頼性に要求されるスペック(特にフラッシュメモリでは、酸化膜を絶縁膜としてではなく、アクテイブ層であるトンネル膜として使うという点において、従来とは桁違いに大きなストレスを酸化膜に与えている)が、決定的に厳しくなっている。このことはクリーンネスの改善だけではスペックを満足させることが難しい状況になっていることを意味している。信頼性を表わす故障率の尺度としてFITという単位が使われることがあるが、これは別の書き方をするとPPM/Kを意味し、1,000時間で100万分の一の故障率を表わす(parts per million per thousand hours)。
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