半導体用語集

ドナー準位

英語表記:donor level

 禁制帯中に作られる局在した電子エネルギー状態の中で,電子に占有された状態で電気的に中性で,電子を放出して正に帯電するものを,ドナー準位と呼んでいる。母体結晶に伝導電子を供給するためのドナー不純物は,電子に対する束縛エネルギーが小さく,室温で容易にイオン化できる浅いドナーである必要がある。束縛エネルギーはドナーイオンを陽子に,伝導電子を軌道電子に見立てた水素原子モデルで見積ることができる。この場合,電子の有効質量および結晶の比誘電率の補正を行う。幸い,多くの化合物半導体では伝導電子の有効質量が小さく,そのため束縛エネルギーは非常に小さい。たとえば,ガリウムヒ素では5.3meVになる。
 不純物原子の価数が,置換すべき母体原子のそれよりも大きい場合にはドナーとして働く。アクセプタの場合と同様,化合物半導体では不純物原子の占める格子位置が2種類あるため,たとえば,ヒ化ガリウム(GaAs)においては,Ⅵ族元素(SeやTeなど)がアニオン原子(Ⅴ族のAs)の格子位置を占めた場合と,Ⅳ族元素(Siなど)がカチオン(Ⅲ族のGa)に置き換わる場合とがある。Ⅲ-Ⅴ族半導体では,成長中のドーピング,イオン注入ともにシリコンがドーパントとして最も多く使われている。


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