半導体用語集
ビームライン
英語表記:beamline
シンクロトロン放射光を発光源の電子蓄積リングから露光装置(ステッパ)まで、なるだけロスのないように導くために設けた真空のパイプラインのこと。ビームラインは、放射光リソグラフィに適したX線の波長選択、照明領域の拡大および露光装置(ステッパ) とのインタフェースの役割を担う。 真空ダクト、真空排気系、バルプ系、X線ミラー、X線取り出し窓、真空保護のインターロック機構などで構成される。電子蓄積リングの中は高真空 (~10-8Pa) になっており、真空中で電子が曲げられる時に接線方向に放射光が放出される。この放射光を露光装置に導くに際しては、真空破壊により ,電子蓄積リングに影響を与えない構成とすることが最も重要である。このため、 何らかの真空隔壁が必要となる。しかし、放射光リソグラフィで用いられるInm前後の軟X線は、厚い金属やガラスの隔壁では透過できないし、空気中でも大きく減衰する。このため、電子蓄積リングから放出された放射光を減衰のない真空中で露光装置直前まで導き、 べリリウムやシリコンカーバイドなどのX線をよく透過する薄膜でできたX線取り出し窓を介して露光装置とドッキングするのが一般的である。発光点から露光装置までの距離を長く(通常数~10m前後)とることにより、波長選択および照射領域拡大のためのX線ミラーを設置することが可能となる。また,万が一X線取り出し窓が破損して真空漏れの事故が発生しても、それが電子蓄積リングまで到達しないうちにバルブが閉まるようにアコースティックディレイやファーストクロージングバルブなどによるインターロック機構を入れることもできる。
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