半導体用語集
メディアン寿命
英語表記:median life
メディアンは,データを大きさの順番に並べた時ちょうど中央に当たる値で,中央値,中位数,50パーセンタイル,50パーセント点とも呼ばれる。累積分布関数が50%となる点である。略号としてはt₅₀が用いられる(図1)。MTF (Median Time to Failure)を略号として用いている場合もあるようだが,これはMTTF (Mean Time To Failure,平均寿命)と紛らわしいので避けた方がよい。
半導体デバイスが50%も故障するような時間は,実際上の意味はない場合が普通だが,(1)TEG(Test Element Group;テスト専用の構造)で試験をする場合,(2)対数正規分布のパラメータとして用いる場合,に使用される。
代表的な故障メカニズムであるエレクトロマイグレーションを例にとって,平均寿命とメディアン寿命の値がどの程度違うかみておく。エレクトロマイグレーション故障寿命はσが0.5から1程度の対数正規分布で近似できる場合が多い。対数正規分布の平均寿命はexp (In t₅₀+ σ²/2)であるから,平均寿命とメディアン寿命の比 (MTTF/t₅₀)はt₅₀に依存せず,exp (σ²/2)とσのみで決まる。図2に示すようにσが0.5の時にはこの比は1.13,σが1の時には1.65となり,2の時には7.4と急激に大きくなる。
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