半導体用語集
ライフタイム
英語表記:lifetime
シリコン結晶のライフタイムには、拡散によって形成したpn接合ダイオードやMOSダイオードに形成される空乏層の中で起きる少数キャリア発生の割合を定量化する発生ライフタイムと、シリコンの禁制帯幅(室温で約1.1eV)以上のエネルギーを持つ光の照射などにより注入した少数キャリアの減衰を定量化する再結合ライフタイムがある。結晶中でシリコンの結合はsp3混成軌道を持つことから、Si原子が抜けたり結合が切れるなどしてできたダングリングボンドからなる結晶欠陥は禁制耐中央付近に深い準位を持つ。その理由はダングリングボンドの軌道エネルギーは結合状態と反結合状態の間に位置するためで、半導体の価電子帯と、また伝導体が反結合状態にそもそも起因するためである。また多くの金属不純も深い準位を持つ。これらはキャリアの捕獲または放出の素過程を通して、伝導帯と価電子帯との間でキャリアのやり取りをする。これが発生・再結合中心(generation recombination : g-r center)となり、キャリア密度を平衡状態からずらした後に光を切ると、元の平衡状態に戻る。この過程を再結合と呼ぶ。シリコンは間接遷移型の半導体であり、禁制帯に存在する再結合中心を介して電子と正孔が再結合する間接再結合が支配的である。間接再接合の過程はShockley-Read-Hall(SRH)理論に基づき4種類(電子捕獲、電子放出、正孔放出)の遷移で説明される。
再結合中心は半導体や絶縁体中に生成された電子と正孔とが再結合して消滅する過程を促進する結晶欠陥であり、半導体の表面・界面、裏面の機械的損傷、半導体プロセスでの照射損傷、深い準位を作るFeやMoなどの微量金属不純物は再結合中心となる。少数キャリアのライフタイムは微量の重金属や結晶欠陥に対し敏感なため、結晶の純度と結晶完全性の重要な指標として用いられている。MOSデバイスやイメージセンサなどほとんどの半導体素子では、出発材料としてのシリコン結晶のライフタイムは長いことが必須である。通常のCZ結晶では、再結合ライフタイムの測定で数100μs~1ms以上の値がええられる。一方、バイポーラICのpn結合ダイオードやサイリスタなどのスイッチング素子ではAuの拡散や荷電粒子照射損傷の導入などにより、特定位置のライフタイムを短く制御してキャリアの蓄積効果によるスイッチオフ時間を短くする技術も活用されている。
なお、エピタキシャル層のライフタイム評価にはUV/ミリ波PCD法、作動μーPCD法、短波長励起PL法、表面光電圧法、
非接触MOS C-t 法などが提案されている。
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