半導体用語集
ローディング効果
英語表記:loading effects
<p>巨視的なローディング効果は単にローディング効果とも呼ばれ、バッチ式装置では処理ウェハ枚数、また枚葉式装置、ではウェハのマスク開口部(被エッチング領域)面積の差違により、エッチング速度や形状が変化する現象である。これは、エッチングに寄与する中性活性種の消費量、あるいはマスク材料から放出される物質の量の増減に起因する。</p><p>たとえば、活性種の発生量が一定の下で被エッチング面積が増加すると、活性種の消費量が増加してプラズマ中の活性種密度か減少し、エッチング速度は遅くなる。一方、微視的なローディング効果を特にマイクロローディング効果と呼ぶが、最近ではエッチングの微視的均一性と総称することも多い。これは、パターンの幾何学的構造(パターン寸法、アスペクト比)やパターン密度の局所的な差違により、エッチング速度や形状が変化する現象である。厳密には、パターン寸法、アスペクト比、パターン密度への依存性の三つに分類すべきであるが、まだ現象すべてを完全に区別して理解できていない。</p><p>ここでパターン寸法はマスクパターンの開口部寸法(孔径や溝幅)、アスペクト比はパターンの深さや高さと寸法との比、パターン密度はマスク開口部、すなわち被エッチング領域の局所的な面積を表わす。
この分類では、マイクロローディング効果はパターン密度に対する依存性に限定し、中性活性種の消費量の局所的な増減に起因する現象、とされる。</p><p>一方、パターンの幾何学的構造のみに依存して生じる現象は、アスペクト比依存エッチング(ARDE)と呼ばれる。典型例として、狭いパターン(アスペクト比が大)のエッチング速度が広いパターン(アスペクト比が小)にくらべて遅い、あるいは逆に狭いパターンのエッチング速度の方が速い現象があり、それぞれRIEラグ、逆RIEフグと呼ぶ。さらにエッチング形状に関して、テーパ形状(ライン幅の増大)のパターン幅依存性なども生じる。</p><p>ARDEは、マスク開口部を通してパターン内に入射したイオンや中性活性種などの反応粒子の、被エッチング表面(底面や側壁)に到達するフラックスが、アスペクト比により大きく変わることに起因する。中性活性種は熱運動速度で等方的に入射し、平均自由行程がパターンの寸法とくらべて非常に大きいため、パターン内の表面に到達するフラックスは、その幾何学的形状(マスク端とパターン内表面の入射点の幾何学的配置で決まる角度)により制限される。</p><p>イオンについても同様である。イオンはシースにおける電界で加速されほぼ垂直に入射し、その大部分はパターン底部に到達する。しかし、プラズマ中の熱運動、あるいはシース内でのガス分子との衝突による散乱などにより、イオンもわずかではあるが速度分布の横方向の広がりを有し、パターン内の表面に到達するフラックスはその幾何学的形状による制限を受ける。これらの効果は、それぞれ、中性種シャドーイング、イオンシャドーイングと呼ばれ、アスペクト比が大きいほどパターン内表面に到達する粒子フラックスは減少し、パターン底部でのエッチング速度が低下する。これがRIEラグであり、極端な場合、アスペクト比の大きなパターンでエッチストップが生じる。</p><p>同様なことが、 重合膜堆積や表面酸化などエッチング反応抑制に至る活性種についても起こり、アスペクト比の小さいパターンほど膜堆積や表面酸化の効果が大きく、RIEラグを打ち消し、極端な場合、逆RIEラグひいてはアスペクト比の小さなパターンでのエッチストップが生じる。また、パターン側壁への重合膜堆積が顕著な場合、側壁のテーパはアスペクト比が小さいパターンはど大きくなる。
</p><p>中性種シャドーイングでは、活性種のパターン内表面での吸着確率はSn=1で、粒子は入射表面ですべて吸着されると考えている。しかし表面での吸着確率が小さい場合、入射表面に吸着できなかった粒子が表面から再放出されてパターン内をさらに輸送される効果を考えると、中性種シャドーイングの影響は緩和され、入射フラックスの徴視的な不均一性が抑制される。</p><p>ここで、パターン側壁での吸着確率がきわめて小さい場合(Sn≪1)がいわゆるクヌーセン輸送にあたり、マスク開口部から入射した中性活性種のほとんどがパターン底部まで輸送される。なお、徴細パターン内でのイオンの輸送に関しては、マスク端やパターン側壁での反射や散乱、あるいは側壁表面の局所的なチャージアップによるイオン軌道の曲がり、などの影響も考慮する必要がある。
</p><p>以上のようなエッチングの微視的均一性の問題は、程度の差はあるものの、被エッチング材料、反応ガス、およびプラズマリアクタの種類によらす生じる。解決手段として、ガス圧力の低下、排気速度の増大、あるいはイオンエネルギーの増大などが講じられるが、バターンの徴細化とともにその機構の本質的な理解と制御の重要性が高まっている。</p>
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