半導体用語集

両面研磨装置

英語表記:double side polisher

両面鏡面ウェハを作製する場合は片面研磨装置で表面、裏面をそれぞれ研磨する方式と、両面研磨装置で両面を一度に研磨する方式がある。両面研磨ウェハが指向される理由は、基本的にはウェハの平坦度向上に関わるものであり、両面研磨装置を使用する場合、その機械的構造と研磨の仕組みから片面研磨装置を使用する場合にくらべて、平坦度の良好なウェハを作りやすいという優位点による。
両面研磨装置は機械的構造としてはラッピング装置と同様で、研磨布を貼った大型の2枚の定盤を対向させ、その間に被加工体であるシリコンウェハを挟んで研磨する。機構的には2枚の定盤はそれぞれ上下に平行においた独立に回転するドーナツ状の円盤であり、その中心軸に太陽ギアと称する外歯の歯車、外周を取り囲むようにインターナルギアと呼ばれる内歯の歯車を 組み合わせ,遊星ギアとなっているキ ャリアあるいはテンプレートと呼ぶホ ルダでウェハを保持する。ウェハはキャリアの中心からオフセットした位置に保持するように設計し、キャリアの回転に伴ってウェハが定盤の径方向に揺動されるようにする。このような構成で、一般的には上側の定盤と下側の定盤は逆回転、インターナルギアと太陽ギアは加工条件設定により、同一方向あるいは逆方向に回転させることで、ウェハ両面を同時に定盤の周方向径方向に相対運動させることで研磨を行う。ここでの各ギアの回転方向、回転数の組み合わせを、加工されるウェハの面内すべてがおおむね均一に加工されるように設定する。この方式では片面研磨装置と違い、研磨が何らかの物理的基準面を基準として行われるわけではなく、上下の定盤の回転によって生じるそれぞれの平均面である2枚の仮想平面の相対位置が基準となるので、平坦度を出しやすいわけである。しかしながら、この説明が完全に成立するのは、定盤が理想剛体でかつ温度変化による変形もない場合のみである。実際には定盤は加工によってかかる力学的な圧力によってわずかではあるが変形するし、加工中の摩擦熱によっても変形する。そのた め、実際には加工中の変形や温度変化を想定し、加工中に望ましい形状になるように、サブミクロンの精度で事前 に形状を作り込んでから使用する。また、この加工方式では、ウェハ面と研磨布の摩擦による横方向の力をすべて キャリアで受け止めることになる。キャリアは必然的にウェハより薄い必要があるので、高々数100μmの厚さしかなく、機械的強度には限界がある。 したがって、あまり摩擦の大きくなる加工条件では横方向の力をキャリアで 支えきれなくなり、ウェハが外れたりキャリアが破壊してしまう不具合が生じる。また、構造的必然性から両面鏡 面研磨装置の定盤の直径は被加工ウェハの少なくとも6倍程度は必要になるので、ウェハの大口径化に伴って巨大 なものになってしまう。このため、高精度に加工することや、温度変化による変形の制御などが一層困難になるな どの問題は片面研磨装置よりも大きい。


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