半導体用語集
固溶度
英語表記:solid solubility
ドナー不純物、アクセプタ不純物あるいはその他の不純物原子が、熱平衡過程により半導体中へ添加される時の溶け込みうる最大量で、温度のみで決まる。Siにおけるドーパント原子、深い不純物原子などの固溶度の温度依存性を図1に示す。Si結晶の原子数5×1022cm-3に対し、As、P、Bなどのドーパント原子の固溶度は1020-21cm-3程度と高い値をもつ。それに対してCu、Feなどの深い不純物原子の固溶度は低い。ドーパント原子の固溶度が高いことによって、様々なSiデバイスの作成が可能となっている。 たとえばMOS FETのソース・ドレイン層、あるいはバイポーラトランジスタのエミッタ層形成などにおいて、高濃度ドーパント拡散が必要となる。このような場合には、通常、固溶度の大きな不純物原子As、PあるいはBなどが用いられる。同時にソース・ ドレイン層ではきわめて浅い接合が要求されており、n型用としては拡散係数の小さいAsが用いられる。なお、イオン注入によりドーパント原子をSi中に導入する時は、熱平衡過程ではないので不純物原子濃度を固溶度以上に入れることができる。しかし、ダメージ回復と電気的活性化のためアニーリングを施す必要があり、この段階で電気的に活性な濃度は、ほぼ固溶度に制限される。
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