半導体用語集
多結晶シリコン
英語表記:polycrystalline silicon
結晶方位の異なる単結晶領域の集合したものが多結晶であり、多結晶シリコンはバルク単結晶の成長材科として、またその膜はシリコンデバイスプロセスに用いられている。多結晶シリコン膜はゲート電極材料として、セルフアラインプロセスを可能にし、またウェハ裏面に堆積した膜は、結晶粒界がゲッタリング源の一つとなって、いわゆるPBS(Polysilicon Back Sealing)ゲッタリングとして実用化されている。
この項では多結晶シリコン塊について述べる。シリコン単結晶の育成にはBやPの純度がppbオーダの高純度多結晶シリコンが用いられる。この多結晶シリコンはケイ石を出発点とし、還元、精製、化学気相成長のプロセスを経て製造される。ケイ石(SiO₂)は地殻を構成する重要な岩石であるが、まずこのケイ石と木炭やコークスを2,000℃以上のアーク溶解炉で溶解、還元し、金属Siをえる。この時2%程度のFe、Al、Tiが含まれている。
次に金属Siを粉砕し、300~600℃で塩酸と反応させ、式(1)に従ってSiHCl₃をえる。中間生成物としてSiCl₄やPCl₃などが含まれている。
Si + 3HCI → SiHCl₃ + H₂ (1)
この反応では、FeやBがFeCl₃やBCl₃の塩化物となって除去され、高純度のトリクロルシラン(SiHCl₃)がえられる。合成されたSiHCl₃はSiCl₄を分離し、またPCl₃などの金属塩化物を除去するために数100段の精留装置に導かれ、精留を繰り返して超高純度化される。
精製されたSiHCl₃は高純度H₂とCVD炉内で反応し、式(2)の水素還元法によりSiが1,100℃に通電加熱された多結晶棒に析出する。
SiHCl₃ + H₂ → Si + 3HCI (2)
このようにしてえられた多結晶シリコンの純度は、テンナイン(99.99999999%)で、重金属不純物濃度は1ppb以下、活性不純物濃度は0.1ppb以下、電気抵抗で1,000Ω・cm以上である。
またトリクロルシランを式(3)に示すように熱分解し、Siをえる方法もある。
4SiHCl₃ → Si + 3SiCl₄ + 2H₂ (3)
トリクロルシランに代わってモノシラン(SiH₄)を700~800℃の低温で熱分解し、より高純度の多結晶シリコンをえる方法も開発され、実用化されている。この場合には低コストでモノシランを製造することが重要であるが、式(4)の反応により可能になった。
MgSi + 4NH₄Cl → SiH₄ + 2MgCl₂ + 4NH₃ (4)
ここで、MgCl₂はマグネシウムと金属級シリコン粉末を水素中で500℃で熱して合成する。この方法の特徴はBがNH₃と反応し除かれることで、B濃度は0.01~0.02ppbとなり、トリクロルシランの場合にくらべて1桁低い。
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