半導体用語集

拡散係数

英語表記:diffusion coefficient

固体結晶中における拡散原子の拡散の速さを示す量で、拡散の流れと濃度勾配の比例関係を表すフィックの第一法則における比例定数である。実験的にえられる拡散係数Dは、その温度(T)依存性において、logDとI/Tとの間に直線関係がなりたつ。一般的に拡散係数はアレニウスの式
   D=Doe -Q/kT
で表われる。ここで、Doはエントロピー項、Qは活性化エネルギーである。拡散係数の値は、実際のSi拡散プロセス技術において重要な物理量である。Si中における深い単位を形成する不純物原子(Cu、Au、Fe)、ドーパント原子(Al、B、P、As、Sb)、酸素(O)、炭素(C)およびSi自身の拡散係数を図1に示した。深い不純物原子の拡散係数はドーパント原子の値に比べ、数桁大きい。一方、Si中で重要な機能を示すOとCは、ドーパント原子より拡散は速い。Siにおける高密度ドーパント拡散においては、拡散係数は濃度に依存するが、ドーパント濃度が拡散温度における真性キャリア密度niよりも低い場合(真性条件という)、拡散係数はドーパント濃度に依らず一定である。たとえば1,000℃ではniの値は約5×1018cm-3である。図に示したドーパントの拡散係数は、このような真性条件の下でえられたものであり、真性拡散係数は基準値として重要である。


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