半導体用語集

放射再結合

英語表記:radiative recombination

 輻射再結合,発光再結合ともいう。広義には,原子と原子,原子と分子,陽イオンと電子,陽イオンと陰イオンなどが結合して安定な状態になる過程を再結合といい,結合前と結合後のエネルギー差を光(電磁波)として放射(輻射)することを放射再結合という。再結合による光を再結合発光ということもある。特に半導体や絶縁体では電子と正孔の再結合に伴う光の放射をいう。この場合,原子や分子におけるエネルギーの高い準位から低い準位への遷移に件う光の放射(発光)と原理は同じであるが,電子と正孔の再結合過程を強調する場合に区別されて用いられる。
 半導体や絶縁体では熱,電子線,電磁波(光,X線など)などの刺激によって電子が価電子帯から励起されて伝導帯に遷移し,価電子帯には正孔が作られる。このような伝導帯にある電子と価電子帯にある正孔とが再結合し(帯間再結合ともいい,エネルギーを放出する帯間光学遷移である),バンドギャップにほぼ等しいエネルギーのフォトンを放射する。この発光は自然放出や誘導放出とも呼ばれ,直接遷移型半導体を用いた発光ダイオードや半導体レーザの発光の原理的過程である。
 またバンドギャップ内に作られる,格子欠陥や不純物原子による準位を介することで,電子-正孔の再結合が促進されることがあり,このような準位を再結合中心という。この過程で発光が起これば放射再結合である。GaPのような間接遷移型半導体を用いた発光ダイオードでは,意識的に不純物準位を導入し,これを介した放射再結合による発光過程を利用している。
 励起子からも放射再結合が観測される。励起子を構成する電子と正孔が再結合し,励起子準位と価電子帯とのエネルギー差のフォトンを放射する。最低次の励起子準位からの発光は鋭いスペクトルを示す。量子井戸構造における励起子からの発光によるレーザ発振も研究されている。
 放射再結合に対して,発光を件わない再結合を非放射再結合という。


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