半導体用語集
発光過程
英語表記:light emission process
エネルギーの高い状態にある物質が,エネルギーの低い状態へ遷移する時,その差のエネルギーを光(広義には電磁波)として放射する過程。ここで光とは,その波長が紫外域(波長数 10から400nm),可視光域(波長400から800nm)および赤外域(波長800nmから1mm)のいずれかにある電磁波と定義する。発光過程には外部光のない状態での遷移による発光(自然放出)と,外部光が存在する状態での遷移による発光(誘導放出)とがある。また発光に至る機構の違いにより熱放射,ルミネッセンス,チェレンコフ放射などがある。
熱放射とは,物質が高い温度になった時,熱エネルギーを光として放射する過程をいい,熱輻射,温度放射ともいう。発光スペクトルは,物質の種類と温度だけに依存する。黒体からの熱放射(黒体放射または空洞放射)はプランクの放射則に従い,温度で決まるスペクトルを持つ。
ルミネッセンスとは,気体中の原子や分子,液体中の色素,固体中の発光中心(原子,分子など),および半導体など様々な物質をエネルギーの高い状態に励起し,発光過程を経て固有の波長の光を放出することである。励起するための外部刺激として,光,電子線,電界,応力などがある。外部刺激が遮断された後の発光寿命の短い蛍光と,発光寿命の長いリン光に区別される。光で励起するフォトルミネッセンス,電子線で励起するカソードルミネッセンス,電界で励起する電界発光 (エレクトロルミネッセンス),電流注入(キャリア注入)による注入型発光,化学反応によるケミルミネッセンス,超音波によるソノルミネッセンスなどがある。ルミネッセンスの応用は広く,その光を調べることで物質の状態を解析することができるばかりでなく,実際に発光素子として様々な光源やディスプレイとして使用されている。
半導体のルミネッセンスで重要な過程は,電子と正孔との再結合による発光過程(放射再結合)である。電子と正孔が生成される過程により,フォトルミネッセンス,カソードルミネッセンス,注入型発光,などが半導体の品質評価や発光素子への応用の面からも重要である。また,外部光との結合による誘導放出も半導体レーザに結びつく重要な発光過程である。
チェレンコフ放射とは,高速荷電粒子が固体物質などの媒質中を通過する時,粒子速度が媒質中での光の速度を超える場合に高速荷電粒子から光が放射されることである。粒子の進行方向に対して一定の角度θ(チェレンコフ角)で照射され,vを粒子速度,cを真空中での光の速度,nを媒体の屈折率とすると,cos θ=c/nvの関係を満たしている。すなわち半項角が(90°-θ)の円錐状に放射し,高速粒子の存在を示す信号として観測できる。
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発光層積層を用いた青色蛍光有機EL素子
出光興産株式会社
二つの青色材料の積層により、蛍光型素子の発光過程のうち電荷の再結合とTTFを起こす領域を分離することで発光ロスを抑え、高効率かつ長寿命の有機EL素子。
エレクトロニクス材料 › ディスプレイ材料 › 高分子有機EL材料
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