半導体用語集

発光効率

英語表記:light emission efficiency

 発光過程において,物質に吸収されたエネルギーが発光エネルギーに変換される割合,または外部からのエネルギーを与えて発光する時の入射エネルギーに対する出射エネルギーの割合をいう。
 半導体レーザを例に発光効率を説明する。半導体レーザは電流注入型レーザ(この場合レーザダイオードともいう)と,光で励起する光励起半導体レーザとがあるが,実用的なものは前者である。電流注入型レーザ(以下,LDと略す)の基本構造は光共振器を有するpn接合であり,実際にはヘテロ接合構造や光導波路構造を用いて,電流や光を空間的に閉じ込める構造となっている。LDの動作は,pn接合に順方向電流を流し,大量の電子と正孔をそれぞれ伝導帯と価電子帯に注入して反転分布を形成すると,自然放出光を種として光共振器でフィードバックされた光により誘導放出を起こさせることができる。この時,光の損失分よりも増幅分が大きくなればレーザ発振が起こることになる。
 図1はLDの電流に対する出射光電力の模式図であり,一般にI-L特性とも呼ばれる。

 発光効率としては,まず,入力電力(電流と電圧の積)に対する出射光電力の割合が考えられる。電力効率であり,素子の実際の動作には必要なパラメータである。また入力電流に対する出射光電力の割合をスロープ効率ということがあるが,単位は(W/A)となる。
 発光効率として量子効率が物理的意味を持ち,重要である。量子効率には内部量子効率と外部量子効率がある。またしきい値電流以上でレーザ発振している場合の素子特性を表わす微分量子効率が定義される。
 量子効率は,m対の電子と正孔が再結合によりn個のフォトンを発生した時,n/mで定義される。注入した電流(電子,正孔)のうち,フォトンに変換された割合を表わし,通常は,内部量子効率と呼ばれる。これに対して,生成されたフォトンが様々な過程(素子内部の光の吸収や,反射鏡での反射率など)で消失し,素子外部に取り出されたフォトン数を考えた時,外部量子効率と呼ぶ。
 微分量子効率は注入電子-正孔対の数の変化分に対する出射フォトン数の変化分の割合で定義され,素子の動作特性を表わすパラメータとなる。ここでも内部微分量子効率と外部微分量子効率とが考えられている。
 以上の発光効率の決め方を図に示している。
   電力効率=L/(VI)
   量子効率=eL/(hvI)
   微分量子効率=e⊿L/(hv⊿I)
ただし,V:素子電圧,e:単位電荷,hv:フォトンエネルギーであり,他は図に示す量である。


関連製品

「発光効率」に関連する製品が存在しません。

関連用語

関連特集

「発光効率」に関連する特集が存在しません。




会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。