半導体用語集

横方向拡散

英語表記:lateral overgrowth

 サリサイド形成の際に、絶縁膜上の金属膜ヘシリコンが拡散することを横方向拡散と呼ぶ。シリコンの横方向拡散が発生すると、本来シリサイドが形成されないゲート電極のサイドウォール上ヘシリサイドが形成されてしまうため、ゲートーソース・ドレイン間ショートの原因となる(この現象は、「這い上がり」と呼ばれている)。横方向拡散は、TiSi₂に代表されるような、シリコン原子が金属膜中へ拡散することでシリサイド反応が進行する金属シリサイドに特有の現象であり、逆に金属原子がシリコン中へと拡散するシリサイドでは発生しにくい。横方向拡散の抑制には、2段階でアニールを加える2ステップアニール法が有効である。2ステップアニール法では、横方向拡散が起こりにくい比較的低温のアニールを加えてシリサイド反応を起こした後、選択的に金属膜を除去してから高温のアニールを加えて最終形態のシリサイドを形成する。横方向拡散の進行が著しい高温アニール時には、絶縁膜上の金属膜は除去されていることが、この手法のキーポイントである。さらに、TiSi₂形成の場合には、アニールを窒素雰囲気で行うことも横方向拡散抑制に有効であることが知られている。窒素雰囲気中でアニールを行うと、チタンは窒化されて、金属中へのシリコン拡散に対してバリア性を有する窒化チタン(TiN)が形成される。このため、絶縁膜上の金属膜へはシリコン原子が拡散しにくくなり、「這い上がり」が抑制できる。ただし、この場合シリコン上の金属膜では、上からの窒化反応と下からのシリサイド化反応が競争反応となるため、非窒化雰囲気中でのアニールと比較して、初期の金属膜厚に対して形成されるシリサイド膜厚は薄くなる。

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