半導体用語集
LPCVD
英語表記:Low Pressure Chemical Vapor Deposition
通常のCVD(Chemical Vapor Deposition)法は、1気圧に近い圧力の下で膜成長を行うが、LPCVDでは数Torrから数10Torrの減圧下で成長を行う。減圧CVDとも呼ばれる。 LPCVDでは、原料分子、反応化学種 の平均自由行程が長くなり、それらの成長表面への気相拡散が容易になる。
LPCVDは、Siや化合物半導体の結晶成長技術として広く用いられている。SiのLPCVDでは、薄膜化に伴う不純物の各層間への拡散の抑制、成長膜厚や不純物濃度の膜面内均一化、成長の低温化、成長前の基板表面のクリーニング(特にSiO₂の除去)、処理基板枚数の増加などに威力を発揮する。最近では、LPCVDをさらに極限化したUHV/CVD法も行われ、Si表面の酸化物除去において優れた特徴を示している。
Ⅲ-Ⅴ族結晶のLPCVDも、有機金属気相成長法や塩化物気相成長法のいずれにおいても、さらなる発展として開発され、実用化されている。その目的は多岐にわたるが、原子層オーダの超薄膜結晶の膜厚制御、大面積基板結晶上の膜厚や不純物濃度の面内均一化などにある。また反応炉内の滅圧化により気相中の平均自由行程が長くなり、気相横方向拡散が無視され、絶縁膜などをマスクとする選択成長において、膜厚などのマスク形状依存性は大幅に改善されるとともに、均一性やマスク端における異常成長は生じない。さらに原料分子、反応種間で気相中で結晶成長に不都合な反応が生ずるケース(たとえばⅢ族原料分子とⅤ族原料分子間でのアダクトの生成)にもLPCVDにすることにより中間反応を防ぎ、良好な結晶成長が可能になるケースもしばしばある。
LPCVDにより反応ガス、キャリアガスが反応炉の内部で示す渦流など、複雑な流れは改善される。LPCVDが行われる希薄気体の流れは、連続流を記述するNavier-Stokes方程式から、分子流を記述するBoltzmann方程式へ移る中間流に相当する領域に属し、計算機によるモンテ・カルロシミュレーションによりその解析が行われている。
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グローバルネット株式会社
株式会社KOKUSAI ELECTRIC、鋪田 嚴
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