半導体用語集
熱窒化
英語表記:thermal nitridation
Siの表面を直接窒化して、シリコン窒化膜をえる方法。熱窒化は反応ガスとして、N2 (窒素)、NH3 (アンモニア) (NH3窒化)、 N2H4 (ヒドラジン)を用いSi基板を700~ 1,200℃に加熱することにより行われる。Si熱窒化膜の成長の機構は、熱酸化の場合 (Deal-Groveモデル)と同様で、次の3段階のステップで構成される。
(1)窒化種がガス中から窒化膜の表面に運ばれて吸着する過程、②すでに存在する窒化膜中を拡散する過程、(3)窒化膜Siとの界面で、Siと窒化反応を起こす過程。窒化膜は構造的に緻密なため、窒化膜中の窒化種の拡散係数はきわめて小さく、熱窒化の場合、窒化膜の膜厚は6~7nmで飽和する。酸素の混入を排除した熱窒化膜は、CVD窒化膜同様、耐酸化性、不純物の拡散マスク性に優れているが、Siデバイスに使用可能なレベルの良好な電気的特性をえるには、処理温度を1,100℃以上に上げる必要があり、Siデバイスに適用するうえでの最大の障害となっている。熱窒化温度を低減するために、イオン注入法を用いてSi基板に窒素イオンを注入した後にアニールする方法、プラズマを用いて発生させた活性なラジカルを用いる方法も試みられているが、良好な電気的特性をえるには至っていない。窒化種として、N2O(亜酸化窒素)(N2O窒化)やNO(一酸化窒素)(NO窒化)を用いる熱窒化法もあるが、この場合には窒化と酸化が同時に進行する。SiO2が表面にすでに形成されたSi基板を窒化(窒化酸化)して、SiO2の一部またはSiO2とSi基板との界面を熱窒化する方法も試みられている。MOSデバイスにおいてゲート酸化膜が4nm以下になった際、ゲート電極中にドープした不純物(ボロン)がSi基板に到達しやすくなる(外方拡散)が、この方法で形成された窒化酸化膜は不純物の拡散を有効に阻止し、すでに最先端デバイスの一部に使用され始めている。
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