半導体用語集

短時間アニール

英語表記:Rapid Thermal Annealing

 不純物導入のため,イオン注入工程に引き続いて行われるアニール工程は,注入時に導入された結晶欠陥を回復させ,さらに注入不純物を電気的に活性化させる工程であり,従来は加熱に電気炉を用いてアニールを行うファーネスアニール(FA)法が用いられていたが,電気炉の温度応答性が悪いためアニール処理に分単位の時間を要した。高温・長時間の熱処理は不純物の再配置の問題の他,化合物半導体では保護膜と半導体との間で構成元素が相互拡散を起こす問題がある。
 近年では半導体の加熱に電気炉の替わりにハロゲンランプや電子ビームを用いた高温・短時間急速加熱技術がアニール処理に導入され,RTA(Rapid Thermal Annealing)法と呼ばれている。RTAでは秒単位の短時間であるが高温の熱処理が行われるため,不純物の活性化や注入時に導入された格子欠陥のアニールが実用上問題のないレベルで行える他,短時間の熱処理が可能となったことにより,化合物半導体でみられる保護膜・半導体間での構成元素の相互拡散による変成層の形成を抑制できる。
 半導体素子の高集積化,高性能化,高速化の動向は,不純物ドープ層をより薄く・高濃度に制御することを要請する。RTAでは短時間熱処理が可能であり,熱拡散技術を用いてこの要請を満たすことも可能となった。たとえばシリコンではBSG/SiまたはPSG/Si構造を用い,1,000℃,10秒程度のRTA処理でBまたはPの固相拡散が行われている。
 以上は半導体の融点以下の温度で行われる固相熱処理であるが,融点以上の温度で行われる液相熱処理の例として,加熱光源としてハロゲンランプの替わりにエキシマレーザを用い,ELA(Excimer Laser Annealing)技術を利用した次の例があげられる。すなわち,ポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)の作成のため,ガラス基板上に形成したアモルファスシリコン膜やポリシリコン膜を結晶化または粒径を拡大させる方法として,XeCl(Xenon Chloride)エキシマレーザ(波長308nm)を用いたELAが最近では一般的に利用され,高品質のpoly-Siが作成されている。


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