半導体用語集

磁場

英語表記:magnetic field

描画精度を悪化させる要因の一つで、特に時間に対して変動する磁場 (磁場変動; magnetic field fluctua tion)が問題である。
電子ビーム描画装置においては、電磁レンズや電磁偏向器などを使って電子ビームの収束や偏向を行うことからわかるように、磁場を使って電子ピームの制御を行う。 したがって、逆に不要な磁場変動が装置周囲で起こると、電子ビームはその影響を受けて、たと
えば偏向位置が変ってしまい、精度が悪化する。このため、電子ビーム描画装置では、描画中にこのような磁場変動が生じないように、 装置近傍での磁場変動を抑える工夫を施して装置の性能を確保している。装置周辺で起こる磁場変動の主因は,周辺装置や空調機機などで使われる電磁気アクチュエータであるが,装置からかなり離れた地域で生じる磁場変動、たとえば鉄道車両の加速減速運行(大電流変動が生じる) に伴う磁場変動、きわめて長周期の地磁気の変動も描画精度を悪化させる因子となる。磁場変動の影響を回避する。あるいは減少させるための工夫としては、磁気シールドが一般的である。電子光学鏡筒や試料チャンバなどの真空容器をパーマロイ、純鉄などの磁性体で製造する。真空容器などは製造の容易さからステンレス銅などで作り、その周りをミューメタルなどの磁気シールド材で覆う、 さらに装置全体を磁気シールド室に設置するなどして, 磁場変動が電子ビームに及ぼす影響を低減している。最近では、装置の周囲にヘルムホルツ型のコイル (磁場キャンセラ) を設置し、装置近傍の磁場の変動量をホール素子などで測定し、その変動量が0になるようにコイルに電流を流して周辺磁場の変動をキャンセルする、磁場変動量と電子ビームの偏向量との関係をあらかじめ測定しておき、コラム内で測定した磁場変動量に応じて、偏向器を使って電子ビーム位置を補正するなどの手法も採られるようになっている。


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