半導体用語集

磁気抵抗効果

英語表記:magneto-resistance effect

 一般に、金属や半導体の電気抵抗は磁場を加えることによって変化する。これを磁気抵抗効果といい、磁場による抵抗の変化率、または変化分を磁気抵抗という(あるいは抵抗そのものを磁気抵抗と呼ぶ場合もある)。磁場が電流の向きに垂直な場合を横効果、平行な場合を縦効果といい、通常は横効果の方が大きい。磁気抵抗の測定により、フェルミ面の構造やキャリアの緩和機構に関する有用な情報がえられる。等方的なフェルミ面と一定の緩和時間を持った一つのバンドによって電流が運ばれるという仮定のもとでは、磁場によるローレンツ力の効果はホール電場によって相殺されるため、電流は磁場の影響を受けず、 したがって磁気抵抗は生じない。しかし実際にはフェルミ面の異方性や複数のバンドの関与など様々な要因により、そのような相殺は完全には起こらないため、磁場により電流は減少し、 したがって抵抗は増大する。一般に磁気抵抗は、弱磁場では磁場の2乗に比例して増加し、強磁場では飽和する傾向がある。金属においては磁気抵抗はフェルミ面のトポロジーを強く反映する。強磁場の極限で磁気抵抗が飽和するかどうかは、開いた軌道の有無に関係している。一方半導体においては、複数のサブバンドの電子や、電子と正孔のように移動度の異なる複数のキャリアが存在する場合や、フェルミ面上の位置によって有効質量や緩和時間が違う場合などに磁気抵抗が現われる。また、低温においては磁場によって抵抗が減少する場合があり、これを特に負の磁気抵抗という。このような状況では、不純物によって散乱された電子波が量子力学的干渉によって強め合い、散乱が個別に起こる場合にくらべて抵抗が増大している(アンダーソン局在)。負の磁気抵抗が生じるのは、ベクトルポテンシャルによって電子波の位相が変化し、このような干渉効果が弱められるためである(「電子干渉効果」の項参照)。また、電子のエネルギーがランダウ準位に量子化されるような低温、強磁場領域においては、磁気抵抗はフェルミ準位における状態密度の変化を反映して振動する(「シュブニコフドハース効果」の項参照)。

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