半導体用語集

窒化アルミニウム

英語表記:AlN

 結晶構造:主にウルツ鉱構造を取る。格子定数:a=0.3112nm,c=0.4982nm(閃亜鉛鉱構造では0.436nm)。バンド構造:直接遷移型。エネルギーギャップ:6.28eV(RT)。有効質量:伝導帯mc*/m₀=0.27(平均),0.25(⊥c軸),0.33(//c軸),重正孔帯mhh*/m₀=6.33(⊥c軸),3.68(//c軸),軽正孔帯mlh*/m₀=0.25(⊥c軸),3.68(//c軸),結晶場分裂帯mcfs*/m₀=3.68(⊥c軸),0.25(//c軸)。比誘電率:ε(0)=9.14(8.50),ε∞=4.84(4.68)。フォノンエネルギー:LO=113.2meV(E₁),110.7meV(A₁),TO=83.1meV(E₁),75.6meV(A₁)(ウルツ鉱構造),LO=111.8meV,TO=81.2meV(閃亜鉛鉱構造)。変形ポテンシャル:a=-9.0eV。弾性定数(×10¹¹dyne/cm²):c₁₁=39.8,c₁₂=14.0,c₄₄=9.6(ウルツ鉱構造),c₁₁=30.4,c₁₂=15.2,c₄₄=19.9(閃亜鉛鉱構造)。熱伝導率:2.85W/cm・K。熱膨張係数(×10⁻⁶/K):5.3(⊥c),4.2(//c)(300K)。融点:3,000℃。
 AlNは非常に大きなエネルギーギャップを持つため,GaNとの混晶AlGaNはInGaNを発光層とした青色LED,緑色LEDのキャリア閉じこめ層として使用される。また窒化物系半導体は,現在サファイア基板上に成長するのが主流であるが,その成長初期に均一に薄膜を形成するために低温成長AlNバッファ層を挿入し,高品質の薄膜がえられるようになった。Al₁₋xGaxNのAl組成を大きくすると,エネルギーギャップはEg(x)=0.53x²-3.31x+6.28(eV)に沿って大きくなるが,これに件って特にp型伝導度制御が困難になってくる。またGaNとAlNの熱膨張係数差に伴うクラックの発生も生じやすくなるため,使用できるAl組成には実質的な上限がある。AlGaNはまた青色半導体レーザの光閉じ込め層,窒化物系HEMT(高移動度トランジスタ)のAlGaN/GaN変調ドープ層としても使用される。


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