半導体用語集

自然酸化膜

英語表記:native oxide

 シリコンの清浄表面はきわめて活性であり、空気中に放置しておくと室温においても酸化が進む。このように形成された膜を自然酸化膜と呼ぶ。この膜は、熱酸化膜にくらべて、反応が十分に進んでおらず、ダングリングボンド、Si-Si結合などが多く含まれ、平均としてSiOx構造になっているとみなすことができる。このために不純物を取り込みやすく、ゲート酸化膜を形成するという立場からは好ましくない。シリコン基板の不純物濃度によっても成長する自然酸化膜厚は異なる。大気中での放置時間に対する膜厚を測定すると、ほぼ一層ごとに成長しているような階段状の膜厚の成長が観測されている。なお、このような領域の膜厚の評価にはエリプソメトリだけでは間違いを起こすおそれが高く、通常XPSを併用したり、断面TEM像における格子像において原子間距離で較正をして長さの基準を決めることも必要になってくる。大気中放置で形成される自然酸化膜も大気中の水分を徹底的に抑えた雰囲気下(たとえば水分濃度が0.1ppm以下)では、ほとんど成長しないことも報告されている。一方、薬液中で形成される酸化膜をケミカルオキサイドと呼び、区別する場合もあるし、広義には同一視する場合もある。超純水中においても溶存酸素量をコントロールすることによって成長するケミカルオキサイドの厚さは異なる。大気と接していて溶存酸素が飽和溶解度の超純水では酸化が進み、溶存酸素を極力低減した超純水ではケミカルオキサイドの成長は抑制されることが報告されている。一方、ケミカルオキサイドを現実のデバイス製造プロセスでの保護膜として使うことも考えられている。つまり、洗浄工程の最終エ程に酸化性の薬液を使用し、クリーンルーム中にエアー暴露されている際の汚染に対する保護膜として使おうという取り組みである。これらの意味においてLSI製造プロセスにおける自然酸化膜は、単についてしまった膜という以上の大きな技術的意味合いを持っている。


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