半導体用語集
表面緩和
英語表記:surface relaxation
バルク結晶をある方向で切り出す場合を考える。その時現われる結晶表面の原子が元のバルク結晶での位置を保つ仮想的な表面を理想表面と呼ぶ。一般には,現実の表面は理想表面とは異なる構造になる。これは,切断による表面原子の結合エネルギーの損失をできるだけ小さくしようとするためである。表面緩和では,表面に平行な原子層の間隔が表面付近で表面と垂直方向に変化する。表面緩和は一層目では著しいが,二層目以下では無視できるほど小さい場合が多い。
表面緩和は,特に,金属表面においてよく調べられている。表面が形成されると,金属表面の電子密度分布が平坦になろうとする。その時,表面原子間の聞隙を電子が埋め,理想表面とくらべて電子の平均位置が結晶内部方向にずれた構造になる。その結果,一層目の原子を内側に引き込む力が生じて,一般的には,一層目と二層目の原子層間距離が数%から10%程度縮む。金属における表面緩和は,原子の面密度が小さい表面ほど顕著になる。
化合物半導体においては,原子間の結合が共有結合性であり,表面緩和よりはダングリングボンドの個数が減るように表面における原子配列が変化する表面再構成が支配的である。しかし,再構成構造によっては,表面原子層間の距離は,一層目の原子と二層目の原子が同元素であるかそうでないかなどに依存して正負の表面緩和が起こる。
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