半導体用語集
表面障壁
英語表記:surface barrier
半導体表面におけるダングリングボンド,異種原子の吸着,原子欠陥などが原因となり,半導体表面ではバルク結晶とは異なる電子状態が表面付近に局在する(表面準位)。たとえば,n型の半導体を考えると,不純物(ドーパント)準位は伝導帯近くに位置している。このため,表面付近の不純物原子からバンドギャップ中に存在する表面準位へ電子が移動し,エネルギーの安定化が起こる。不純物原子は電子を奪われ正に帯電するため,その静電ポテンシャルのために表面付近の伝導帯と価電子帯はエネルギーの高い方向に押し上げられる(バンドベンディング)。表面準位の密度は,一般には,バルク結晶における不純物密度よりも数桁高いため,バンドベンディングの領域の深さは数10nm(ナノメートル=0.001μm)から数μmに達する。その結果,n型半導体の多数キャリアである伝導電子が,半導体表面に向かって垂直に移動しようとする時,伝導電子の流れに対して障壁が生じる(表面障壁)。同様の議論は,p型半導体で,電子をホールに置き換えてなりたつ。化合物半導体では,ダングリングボンドのエネルギーが多様で,たとえば,ヒ化ガリウムGaAsのガリウム原子とヒ素原子のダングリングボンドは,それぞれ伝導帯と価電子帯付近に存在するため,ガリウムのダングリングボンドからヒ素のダングリングボンドへの電荷移動が起こっている。したがって,理想的にはGaAsの表面付近でバンドベンディングは起こらないはずである。しかし,実際には,GaAsや GaPなどにおいて,表面欠陥,酸素や他の金属原子の吸着などによりきわめて高い密度の表面準位が,価電子帯最上部からバンドギャップの約1/3のエネルギー位置に存在するため,表面障壁が存在することが知られている。
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