半導体用語集
近接効果補正
英語表記:OpticalProximity Correction : OPC
1.光リソグラフィ
光リソグラフィにおいて100nm以下の微細パターンを露光すると、マスク上のパターンが忠実に転写されず、角がまるまったりする。このため転写後のパターンが正常になるようにマスク上のパターンに工夫を凝らしている。これをOPC(近接効果補正)と呼んでいる。また近接したパターンの影響を受けてパターン太りや細りが出来てしまう。これを避けるため、本来は不要であり、細くて改造しないパターンを設けたりする。
たとえば、半導体デバイスの配線などのラインパターンを形成する場合、光近接効果の影響によりランダムに配置されているラインのレジストパターンの線幅が設計値と合わなくなる。その線幅の設計値からのずれを補償するために、マスク上でパターン線幅にマスクバイアスを加えて近接効果補正を行う。また、光近接効果によりラインの先端部におけるレジストパターンが設計よりも後退するか、 もしくはコーナラウンディングが生じる。このような近接効果を補正するために、マスク上でラインの先端に微小な図形(シェリフ、ハンマヘッド)を付加して補正する方法がある。シェリフパターンは、ラインの先端部コーナに角状の徴小図形を付加するタイプである。ハンマヘッドは、名前のとおりライン先端部にハンマヘッド形状の微小図形を付加するタイプである。同様に、 L字型ラインのコーナにおいても、シェリフパターンを付加することによりコーナラウンディングを軽減す ることができる。以上述べた近接効果補正を半自動的に行う方法としては、シミュレーショ ンべースと、ルールべースの近接効果
補正がある。 シミュレーションべースは、補正前のマスクパターンレイアウ トにおける光学像を計算し、パターン寸法が設計からずれている箇所を検出し、検出された部分を補正する方法である。ルールべースは、マスクバイアスなどの補正を決められたルールに従って行う方法である。シミ、レーションべースは、補正の精度は高いが処理時間が非常に長くなるという欠点がある。一方、ルールべースは、補正精度は若千低いが処理速度が速いという特徴がある。実際には、補正精度と処理速度を両立させるために,シミュレーションべースとノレー/レベースを組み合わせて近接効果補正を行うことも検討されている。
以上述べたように、近接効果補正を行うことにより半導体デバイスのレジストパターンの寸法精度は高くなるが、マスク製造上の各種問題点がある。第一に、シェリフパターンのように主パターンよりもかなり小さいパターンをマスク上に形成しなければならず、より高解像度のマスク描画技術が必要になる。第二に、補正後のマスクには微小図形が多数含まれているので、パターン欠陥検査が困難になる。
2.電子ビーム露光(描画)
電子ビームがレジスト中および基板で散乱することにより起こる近接効果を,描画パターン形状や露光量を変化させることにより、設計どおりのパターンをえることを近接効果補正という。代表的な近接効果補正法としては、照射量補正とGOHST法があげられる。照射量補正は、パターン密度の違いによる後方散乱電子量の差を補正するようにパターンごとに最適な照射量を設定する近接効果補正法である。GOHST法は、所望のパターンの露光を行った後、電子の後方散乱径程度にぼかしたビームでその反転パターンを露光することで、先に行った露光において生した後方散乱電子を補償する近接効果補正法である。GOHST法は近接効果補正のために二重露光を行うためスルーブットの低下が無視できす、実用的な近接効果補正としては照射量補正が主流となっている。パターンの微細化に伴って、前方散乱の影響まで考慮した近接効果補正法も考案されている。
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