半導体用語集
遷移層
英語表記:transition layer
Si/Siエピタキシャルウェハの深さ方向ドーパント濃度分布は、基板濃度を持つ基板部分と、目的としたドーパ ント濃度を持つエピタキシャル部分の 2層が存在し、この境界部分はステップファンクション状であるこが理想である。しかし、実際のエピタキシャルウェハでは、深さ方向ドーパント濃度分布には境界付近で「だれ」が生じてしまう。この「だれ」の部分を遷移層という。また、基板ドーパント濃度から濃度が2桁減少する部分までの領域を遷移層という場合もある。遷移層は基板からドーパント濃度が急峻に減少する部分と、それに続いて所望のドー パント濃度まで緩やかに減少する部分に分かれる。急峻な部分は基板からエピタキシャル層への固相外方拡散、緩やかな部分はオートドーピングが原因である。固相外方拡散は高濃度基板中からエピタキシャル層へのドーパントの拡散のため、ドーパント原子種・濃 度,エピタキシャル成長温度、エピタキシャル成長時間など、拡散長に影響 するパラメータに依存する。オートドーピングもドーパント原子種・濃度、エピタキシャル成長条件に依存するが、固相拡散に比較し、その挙動は複雑である。エピタキシャル成長には種々の原料ガスが使用されているが、 固相外方拡散は一般に高温ほど促進されるので、低温成長可能なSiH4での 成長が有利である。また、固相拡散はエピタキシャルサイクル時間にも影響を受ける。一般にバッチ処理型のエピ タキシャル装置は枚葉型に比較して、昇降温に時間がかかるため(30~60 分)、遷移層幅制御性には不利である。 着遷移層の幅は通常角度研磨/拡がり抵抗法や SIMSで測定する。エピタキシャル膜厚が~5μmの遷移層の幅は、ドーパントがSbの場合は、 ~0.3μm以下であるが、Asを用いた場合には~1μm以上になる。ドー パントにAsを用いた場合の薄膜エピ タキシャルでは耐圧などデバイス特性に大きな影響を与えるので遷移層を考慮したエピタキシャル膜厚の設計が必要である。
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