半導体用語集

降伏応力

英語表記:yield stress

物質に男声限界以上の応力が印加されると、応力が急減した後応力がほとんど増加せずに、急激に塑性変形を起こす。この点をその物質の降伏点(yield point)と呼び、一定の歪速度で応力を印加して測定した応力ー歪曲線(stress-strain curve)の降伏点での上限値を上降伏応力(upper yield stress)、下限値を下降伏応力(lower yield stress)という。降伏現象はSi、Geなどの純粋に共有結合性の半導体結晶だけでなく、化合物半導体結晶でも確認されている。SiにくらべGaAsなどの化合物半導体の上降伏応力は低い。Si結晶の上降伏応力と下降伏応力はそれぞれ次式に従い、温度と歪速度に依存する。


ここで、Aとnは定数、έは変形速度、Uは0.8~1.1eVである。上降伏応力に対し、結晶に内在する転位の密度は大きく影響する。CZ-Siの高温での析出軟化現象は、酸素析出物の成長に伴い発生した転位による。上降状応力に影響する他の材料因子としては、酸素やホウ素などの不純物が知られている。引っ張り試験ではFZ-Siとas-grownのCZ-Siの応力歪曲線は大きな違いを示さない。一方、曲げ試験では引っ張り試験より歪速度が小さいため、上降状応力に違いが現れる。as-grownのCZ-SiではFZ-Siよりも上降状応力は大きく、またホウ素を高濃度にドープしたP+基板はP-基板よりも上降状応力は大きくなる。降伏点での急激な応力の低下は、試験機と試料の歪速度の動的相互作用によるJohnston効果で説明される。すなわち試料の変形速度が機械による変形速度に等しくなる限界荷重が存在し、それ以上の荷重に対しては荷重の現象が存在し、それ以上の荷重に対しては荷重の現象が起きるのである。Siなどの半導体結晶での降伏現象はこの機構による。


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