半導体用語集

電子の脱出深さ

英語表記:escape depth Of electron

固体内で放出された電子が、その工ネルギーを失うことなく、固体外に脱出できる深さを脱出深さと呼び、表面分析法においては、その手法を特徴づける検出深さと同義語である。この脱出深さを決める重要なパラメータは電子の平均自由行路、つまり放出された電子がエネルギー損失を受けることなく試料中を進むことのできる距離であり、試料表面から垂直方向への脱出の場合を考えると、平均自由行路と等しい深さからの信号量は、最表面にくらべて1/e、すなわち37%に低下することになる。したがって、脱出深さは、おおよその平均自由行路であるといえる。しかし、厳密には脱出深さと平均自由行路とは同し値ではなく、実際に平均自由行路以上の深さからの信号も検出されるし、また脱出角(検出角) が変われば脱出深さも変わるので注意を要する。なお脱出深さは、平均自由行路と同様に、脱出する電子のエネルギー、試料自体の密度、原子番号および結合状態に依存している。一般に、光電子分光法で利用する2,000eV以下の低速電子は、一般に固体内で非常に強い吸収を受ける。そのため、放出された光電子がエネルギー損失を受けることなく、試料中を進むことのできる距離は非常に小さい。脱出深さは、基板からの光電子強度との関係から実験的に求めることができ、50~500eVのエネルギー範囲では、1nm前後である。


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