半導体用語集

飛程

英語表記:range

深さxにおける注入イオンの濃度N(x)は、次式のガウス型分布関数で近似できる。



ただし、Rpは平均投影飛程 (projected range)、⊿Rpは分布のゆらぎ(標準偏差; standard deviation、または straggling)である。N(x)はx=Rpで最大値となり、表面から無限大の深さまでのN(x)の積分値は、全注入量Q (通常はions/cm2)を与える。この式は非晶質基板や多結晶基板中の注入イオンの分布に対して、よい第一次近似である(図1参照)。
注入イオンの分布のゆらぎにはイオンの入射方向と直交する方向(y方向)のゆらぎ⊿R⊥がある。この横方向のゆらぎは、イオン注入用マスクの端部付近で注入イオンの濃度勾配を生じさせるため、超微細加工では重大な問題となることがある。
⊿R⊥を考慮に入れたマスク端近傍のイオンの分布N(x、y)は,

      

で与えられる。ただし、yは(マスク窓の幅) /2である。
注入イオンの飛程パラメータの計算に関する厳密な理論的取り扱いはLindhard、Scharff、Schiottに よって確立され、この3人の頭文字をとってLSS理論と呼ばれる。 LSS理論は非晶質材料を前提としたものであり、イオンの投影飛程を与える一次モーメント、分布の広がりを与える二次モーメントおよびさらに回次モーメントが求められる。 一次、二次モーメントはそれぞれ、平均投影飛程 (Rp)、投影標準偏差 (⊿Rp)を与える。Johnson、Gibbonsらはイオン種と基板材料の広範囲の組み合わせに対し数値計算し、データ集としてまとめている。また、三次モーメントは分布のゆがみ (skewness;γ1) 、 四次モーメントは分布の先鋭度 (kurtosis; ß)に関するパラメータであり、分布形状の詳細を与える。
に関するパラメータであり, 分布形状の詳細を与える。


関連製品

「飛程」に関連する製品が存在しません。

関連用語

関連特集

「飛程」に関連する特集が存在しません。




会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。