半導体用語集

CVD技術

英語表記:Chemical Vapor Deposition technology

 成膜技術のうち、化学的方法に分類される方法である。和訳としては、化学気相成長法といわれる。CVD法の広義の定義としては、薄膜を構成する元素を含む原料をガス状にして輸送し、気相あるいは基板表面上での化学反応を利用して所望の薄膜を堆積させる方法である。用語としてCVD法は、PVD(Physical Vapor Deposition)法に対応する用語として利用される。
 Siウェハプロセスでは、1960年代においては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンエピタキシャル膜の成長にCVD法が適用され基本技術の確立が図られた。これら技術は現在も利用されている。その後、多結晶 Si膜の堆積に利用され、減圧雰囲気でのCVD法が確立された。多結晶SiのCVDは、現在のLSIにおいて、ゲート金属である多結晶Si薄膜の堆積として一般的に利用されている。1980年代には、金属膜のCVD法の開発が進められ、特にW-CVDはコンタク卜孔やビア孔への金属埋込技術として利用されている。
 CVD法を利用すると、Siウェハプロセスで利用される材料のほとんどすべての材料を堆積させることが可能であるが、現実のウェハプロセスで物理的堆積法を選択するか化学的堆積法であるCVD法を選択するかは、膜質ばかりではなく、種々の要因で決められる。たとえば、バイポーラプロセスで必要となるSiエピタキシャル膜成長にCVD法が利用されたのは、膜質と量産性の両方を兼ね備えていたからである。ゲート金属に利用されている多結晶Siの堆積にCVD法が利用されたのは、ゲート酸化膜へのダメージがないことに起因している。金属膜堆積技術として、W-CVD法が利用されているのは、アスペクト比の大きなコンタクト孔やビア孔にスパッタ法ではどうしても低抵抗金属を埋め込むことが困難になってきたことに起因する。スパッタ法においても、薄膜を堆積した後に金属をリフローさせて埋め込む技術が利用されているが、W-CVD法の方が埋め込み特性に優れていたことによる。
 反応を行わせるエネルギーの与え方でCVD法は、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法などに分類される。熱CVD法では、反応容器を加熱する、あるいは基板を加熱することで反応に寄与するエネルギーを与える。プラズマCVD法では、多くの場合、反応容器内にプラズマを発生させ原料ガスのプラズマ中での分解や励起を利用して、熱CVD法より低い基板温度で薄膜を堆積させる方法である。光 CVD法では、光エネルギーを利用して気相中あるいは基板表面での化学反応を利用して、低温での成膜を行わせるものである。
 反応容器内の圧力で、常圧CVD、減圧CVDに分類される。常圧CVD法では、反応容器内の圧力がほぼ1気圧である。反応容器内の圧力が1気圧が低い場合は減圧CVD法に分類される。
 堆積膜の膜質に影響を与えるパラメータとして、ガスの選定、反応容器形状、反応容器圧力、ガス組成、基板温度がある。これらパラメータは独立ではなく、複雑に関連するので、現実のCVD装置は、堆積させたい薄膜の種類、薄膜の利用目的によって種々の形態がある。
 SiH₄やSiCl₄など原料ガスを気体状にして、Si基板上輸送し単結晶Siを堆積させる「エピタキシャル成長」は、広義のCVD法の一つに含まれる。現在のLSIウェハプロセスでは、バイポーラプロセスにおいて、Siエピタキシャル成長が利用されている。近年、SiGe混晶のエピタキシャル成長に関して研究が進められているが、手法としては大きくCVD法とMBE(Molecular Beam Epitaxy)法で形成されている。MBE法は、蒸着法の改良発展型の成膜法で、超高真空容器内で加熱したるつぼから堆積させたい薄膜の構成元素を分子ビーム状にして、基板上へ供給し、所望の薄膜を堆積させる方法である。この時、原料の供給にSiH₄やGeH4などのガスを利用して、分子ビームとして供給する方法がある。GS(Gas Source)-MBE法と呼ばれている。物理的堆積法と化学的堆積法の中間のような方法である。


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