半導体用語集

ISDN

英語表記:Integrated Services Digital Network

 サービス総合デジタル網と訳されるように、電話、ファクシミリ、画像、パケットなどの多様な通信サービスを提供するためのデジタル通信の国際規格である。
 電話が発明されて以来、公衆通信の場ではアナログ通信が主流で、通信ネットワークは電話網、ファクシミリ網、パケット網というように、それぞれ個別に発展してきた。しかし、コンピュータの実用化が進むとともにデジタル技術ならびにそれを支えるLSI技術が進展し、通信の世界もデジタル化を余儀なくされるに至った。当時のCCITT(国際電信電話諮問委員会)により、1984年にISDNの基本勧告が制定され、各国で実用化に向けた実験が開始された。わが国においても、1988年にNTTが商用サービスを開始し、個別に発展してきた通信網を統括し、低コストで柔軟性の高い公衆通信システムの構築が始まった。
 ISDNを利用するための加入者インタフェースには、64kbpsの情報チャネル(Bチャネル)を二つと、16kbpsの制御チャネル(Dチャネル)を持つ基本インタフェースと、23(または30)のBチャネルと64kbpsのDチャネルを使用する一次群速度インタフェースがある。音声、ファクシミリ信号、モデム信号などの音響信号はデジタル化され、Bチャネルにより伝送される。コンピュータの取り扱うデータなどもBチャネルにより伝送される。一方、通信相手の電話番号だけでなく、通信の種別、帯域、発信者の情報といった様々な制御情報がDチャネルを介してやり取りされる。ISDNは、通信規格が国際的に標準化されていること、通話品質の劣化がないこと、通信手順や制御情報に柔軟性があるため、将来を含めて多様なサービスに適用できることなどの特徴がある。
 以上述べたようなISDNは狭帯域ISDNと呼ばれ、数Mbps程度までの情報しかやり取りできないが、高精細画像や動画像を取り扱うマルチメディアに代表されるように、大量のデータを高速に伝送するための規格として、広帯域ISDNの普及が進んでいる。広帯域ISDNでは、主に非同期転送モード(Asynchronous Transfer Mode: ATM)という方式で通信が行われる。音声、ファクシミリ信号、画像信号などはデジタル化されたうえで、セルと呼ばれる短いパケットに分解され、150Mbps、600Mbpsといった速度でネットワークに送り込まれ、高速に伝送される。
 このようにISDNは今後の情報通信のインフラとして重要な役割を担っているが、企業の専用線や移動体通信といったネットワークにおいてもISDNの概念が取り入れられ、ISDNと親和性の高い通信規格が標準化されたり、公衆網においてはISDNをベースとしたインテリジェントネットワークが構築されるなど、その利用がますます拡大するものと期待されている。

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