半導体用語集
MCM-D
英語表記:Multi Chip Module Deposited dielectric
低誘電率の有機ポリマ材上に金属薄膜による配線パターンを形成して,1層ずつ積み重ねて多層配線を行う。いわゆる薄膜配線技術を用いたMCM。有機ポリマー材としては,ポリイミドやBCB(Benzocyclobutene),また配線材料として銅やアルミニウムが用いられる。薄膜の土台となる基材としては,金属板,セラミック基板,Si基板などいくつかのバリエーションがある。薄膜技術による微細配線が可能であり,また低誘電率の有機ポリマー材を用いることから,3種類のMCM(MCM-C,MCM-L,MCM-D)のうち,最も高速かつ高実装効率のMCMを実現できる。配線層を1層ずつ積み上げるという,薄膜プロセスを用いるために,製造コストの上昇は避けて通れない。MCM-Dの用途は,高コスト,高速のメインフレームコンピュータ,超高速通信機器などのごく限られたハイエンドアプリケーションに限定される。低誘電率の薄膜内に信号線,高誘電率のセラミックス基材内に電源とグランド層を配し両者をビア
を介して接合した構造のMCMは,特にMCM-D/C(Deposited dielectric on Cofired ceramics)と呼ばれる。厚膜(セラミックス)の採用による薄膜層数の低減,デカップリングキャパシタンスの増加などにより,トータル製造コストの低減,電気的特性の改善が期待できる。
さらに,有機材料を用いないMCM-Dとして,MCM-Si(Si-substrate)がある。MCM-Siは,薄膜を介さずにSi基板をそのまま配線基板として用いたMCMである。Si基板では,超微細なSi加工技術を用いることが可能なため,サブミクロンレベルの配線も可能であり,また,熱膨張係数が搭載チップと同じために,接続信頼性が高いという利点がある。一方,大きなSi基板によるパッケージ封止の難しさ,高抵抗の微細配線を用いることによる高速特性の劣化(特にAl配線),高価な基板製造コストなどが課題である。
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