半導体用語集

べース樹脂

英語表記:base resin

LSI製造用レジストは、樹脂と感光剤などの添加剤からなっている。レジ ストを構成する樹脂は塗布特性、露光特性などのレジスト性能を大きく左右する要素の一つであり、レジスト性能を向上させるために様々な置換基での修飾、組成比調整、分子量制御などがなされている。こうした樹脂においてその基本骨格をなす樹脂をベース樹脂と呼んでいる。べース樹脂には、レジストとして機能するため、露光光が膜中を通過できること、すなわち透明性を有すること、および工ッチングエ程においてマスクとなることが最も基本的なこととして求められる。このため、リソグラフィ技術あるいは工ッチング技術に対応していくつかの樹脂が使われている。ウェット工ッチングでは、工ッチング時の浸み込みを防止するためにべース樹脂には、密着性が要求されるため、環化ゴムが用いられてきた。しかしながらドライエッチングにおいては工ッチング時の膜減りが少ないこと、すなわちドライエッチング耐性が要求され、べース樹脂はフェニル基を持つことが必須となった。このため、g線光、i線光を露光光源とした紫外光リソグラフィ用のペース樹脂にはノボラック樹脂が使われている。しかしながら波長の短い遠紫外光や KrFレーザ光を用いるリソグラフィでは、ノボラック樹脂では十分な透明性がなく、露光光がレジスト膜表層部で吸収されてしまう。このため、ノボラック樹脂と同様の性質を持ち、遠紫外光領域での透明性にすぐれたポリビニルフェノールをベース樹脂とした化学増幅レジストが用いられている。こうしたレジストはまた電子線リソグラフィ、X線リソグラフィにも適用可能である。しかしながら、波長200nm以下の真空紫外光から軟X線域の短波長光に対してはべース樹脂の吸収が大きな課題となる。193nm ArFレーザ光に対しては、フェニル基を含む樹脂はまったく不透明になってしまう。このためArFリソグラフィでは、べース樹脂は、フェニル基ではなく環状炭化水素構造を持つ樹脂がべース樹脂となっている。さらに波長の短い157nmF2レーザ光、13nm、 7nmの軟X線での露光光に対してはほとんどの有機物が強い吸収を持っため、べース樹脂の開発は非常に困難となっている。その他、二層レジスト法における上層レジストは、下層の有機膜を酸素プラズマでエッチングするため、酸素プラズマに対する工ッチング耐性が求められる。このため、酸化物を生じやすい原子を含んだ樹脂がべース樹脂として用いられており、特にシリコン含有樹脂が広く検討されている。


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