半導体用語集
クロストーク
英語表記:crosstalk
信号配線の電圧または電流が変化した時、相互キャパシタンスCmや相互インダクタンスLmによって容量性結合、誘導性結合して、動作していない隣接配線にノイズ(電圧変動、電流変動)を生じる現象。クロストークは信号配線間の相互キャパシタンスや相互インダクタンスに起因した結合のため配線間距離、グランド面との距離、隣接並行配線長、信号電圧変化割合などに依存する。クロストークの強さの指標となる結合係数はKv= Cm/Ctotal= Lm/Ltotalで与えられる。ここで、Ctotalは総配線容量、Lは総インダクタンスである。 したがって、配線に⊿Vの信号の変化がある時、相互キャ パシタンスCm で隣接する配線に生じるノイズ電圧⊿Vnoiseは⊿Vnoise=⊿V・Cm/Ctotalとなる。この式からわかるように総配線容量が大きい (=配線の特性インピーダンスが低い) 伝送線路では、クロストークノイズを低減することができる。 しかし配線容量の増大は、伝播遅延の増大、消費電力の増大、バッファ遅延の増大をもたらすので必ずしも得策ではない。さらに
LSI (Large Scaled Integrated circuit)の多層配線構造における下層配 線では、スケーリング則とともに配線ピッチが微細化される一方で、 配線抵抗の増大を抑えるために配線膜厚は積極的には薄くできない。このため、配線間容量(=Cm)は増大していく傾向にあり、これに伴うクロストークの増大が深刻な問題となってきている。
このクロストークノイズを低減するためには、結合係数Cm/Ctotalができるだけ小さくなるように配線のレイアウト、配線膜厚、層間膜厚などに配慮することが重要である。
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