半導体用語集

クーロン効果

英語表記:Coulomb interaction

電子も荷電粒子であるため、荷電粒子間の電気的な反発によりフォーカスの位置の変化、ビーム軌道の変化によりボケが発生することをクーロン効果という。クーロン効果でフォーカスの位置の変化は、電流量に依存したフォーカスの位置すれをあらかじめ求めておき、電流量に応じて、フォーカスの値を変化させることで補正することができる。一方、ビームボケは補正することができない。ビームのボケは以下の式で表わされる。
  δ=C×I×L/ (ɑ×V3/2)
ここで、δ:ビームのボケ、C:係数、L:コラム長、I:電流量、V:加速電圧、ɑ:ビームの収束半角。生産性向上のために、描画に用いる電流量を増加しているとクーロン効果が増大し、生産性と高解像性を両立することが困難になる。
これらを解決するために、短コラム化、収束半角を大きくする、加速電圧を高くするなどが考えられる。ただし、短コラム化には試料面上の偏向エリアの大きさに応じた偏向器の物理的な大きさ、収束半角増加による光学収差の大きさなどの制限があり、高加速電圧化による低減化が進んでいる。加速電圧を100kVとしたSCALPEL方式の描画装置では、クローン反発によるビームのボケを抑えて1ショット 250 μm内に30μA電流量を流し込むことができ、解像性80 nmと1時間当たり30枚程度のスループットを実現できるとして期侍が持たれている。


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