半導体用語集
シリコンバレー
英語表記:Silicon Valley
米国の半導体産業の集積地であり、米国のハイテクの、象徴、代名詞ともなっている。もともとは、正式な地名ではなく、サンフランシスコ空港南部からサンノゼ市およびその北部にわたる地域であり、「バレー」というが、谷ではなく、平野である。1960年代までは、農業地域だったが、半導体産業の勃興とともに、多くの半導体ベンチャー企業が生まれてからは、一転してハイテク産業集積地となった。もともと米国では、ハイテクというと、ハーバードやMITといった名門大学、 IBMやDECなどの名門大企業がある東海岸が中心であり、1891年に、この地域に、スタンフォード大学が設立された後も、卒業生は全米に散っていた。しかし、1938年に、スタンフォード大の卒業生二人が、恩師のターマン教授の支援をえて、HPを設立して以降は、数多くのスタンフォードの関係者がハイテク企業を設立するようになった。そして、1955年のショックレー半導体研究所の設立、ノイス氏ら「8人の裏切り者」が1957年にフェアチャイルドセミコンダクターを設立、ここで、半導体の将来性が明らかになると、これに倣って、多くの起業家精神に満ちた技術者、研究者が続々と新会社を設立。さらに、インテルを初め多くの企業が、フェアチャイルドからスピンアウトした技術者、研究者によって設立された。フェアチャイルドからだけでも、インテル、AMD、NSなど100社以上の企業が生まれた。こうしたインキュベータ的な役割から、フェアチャイルドスクールと呼ばれたり、その企業群は、フェアチルドレンと呼ばれたりした。1970年代には、半導体、ハイテク企業群の興隆ぶりから、この一帯をシリコンバレーと呼ぶようになった。また、半導体だけでなく、コンピュータなど、その応用機器にも企業設立の気運は広がり、アップルコンピュータも、この中で、生まれている。1980年代半ばには、半導体、コンピュータおよびその関連ハイテク企業数は、1,000社を超えた。その後は、地価の高騰や、環境規制もあり、一時は、生産拠点が移転し、雇用数も減少したこともあったが、1990年代に入り、再び、マルチメディア、インターネットなどの関連企業が増え、活気を帯びている。主なものだけでも、半導体チップメーカーでは、インテル、AMD、NS、LSIロジック、装置メーカーでは、アプライド・マテリアルズ、バリアン、コンピュータメーカーでは、HP、サンマイクロ、シリコングラフィックス、アップル、アムダールなどがある。このシリコンバレーが今なお隆盛をきわめているのは、半導体発祥の地というだけではなく、ハイテクに必要な多くのリソースや、技術開発やベンチャーを支援するインフラが揃っているからであろう。スタンフォード大、カリフォルニア大などの研究者や卒業生、フェアチャイルドをスピンアウトして設立されたインテルなど多くの企業群、中国、インドも含めたアジア系の移民の子孫の研究者、技術者たち、産学の技術交流、「エンジェル」などに代表されるベンチャーキャピタルなどがそうである。しかも、それが、大学からベンチャーヘ、ベンチャーが大企業になると、次のベンチャーヘ、また、ベンチャーキャピタリストヘ、また大学に戻ってアイデアを温める、といったように、優秀な人材が好循環で回っていることも重要である。
関連製品
「シリコンバレー」に関連する製品が存在しません。キーワード検索
フリーワードやカテゴリーを指定して検索できます
関連用語
関連特集
会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。