半導体用語集
シリコン酸化膜
英語表記:silicon dioxide
現在の半導体技術の最も基本的な部品であるMOSFETの高性能化は、比例縮小則と呼ばれる微細化指針に基づいて、MOSFETを構成する部分をそれぞれ小さくあるいは薄くすることで実現されてきた。その中で、常に最も重要な開発アイテムであったのが、ゲート酸化膜である。開発の初期においてもそうであったし、また現在もそうである。また、逆の見方をすれば、シリコン半導体技術がここまでに発展してきたのは、シリコンの酸化膜がきわめて安定であり、また外からの保護膜としても働くということがあったからである。他の半導体がその固有の性質はシリコンにくらべて優れていても、実際に大規模な製品にならなかったのは、まさにこのためであったといえる。この意味で研究の歴史は長く多くのことがわかってきた。しかし、わかっていたことは研究しなおしてみると、また新たな疑問を作り出してきている。酸化膜技術においては、これら基礎研究と工業技術のフィードバックがお互いをポジテイプに高めあってきた。最近になって、また急激に研究の重みが増してきている。これは、必要な酸化膜厚が実際に原子レベルオーダになり、さらなる薄膜化が本質的に難しそうな様相を呈してきているからである。たとえば、1nmの膜厚には厚さ方向にはSiO₂という構造が4~5ユニットしか含まれない。この領域は界面遷移層と従来呼ばれてきた厚さよりも薄く、まさに表面科学の領域に近い。少し前であれば、酸化膜の研究はDRAM用のキャパシタ用の絶縁膜としてであった。しかし、DRAMではすでに高誘電率絶縁膜に材料が変わりつつあり、現在はロジックデバイス用MOSFETにおけるゲート絶縁膜、あるいはフラッシュメモリと呼ばれる、不揮発性メモリのトンネル酸化膜の方に研究開発の中心が移っている。今後は、これらのデバイスにおいても新しい材料に取ってかわっていく可能性もある。しかしながら、キャパシタと異なり、FETではゲート絶縁膜の直下をキャリアが流れるわけであり、シリコンにとりわけ相性のいいシリコン酸化膜制御あるいは詳細な理解は、界面制御という観点から必須であることに間違いない。このような観点からすると、シリコンの酸化というのはシリコンという材料に対する表面処理にほかならないといえ、今後も最も重要な技術アイテムであろう。
シリコン酸化膜は8~9eVという大きなバンドギャップを持つ絶縁体であり、シリコンとの界面は大きな格子不整合にもかかわらずSiO₂がアモルファスであることによって、他のヘテロ界面にくらべてきわめてよい界面を形成している。注意すべきことは、SiO₂はアモルファスではあるが、それはSi-Oが構成する、正四面体ユニットのネットワークの組み方がフレキシブルなのであって、正四面体ユニットは確固たる秩序を持っている。このことが、アモルファスでありながら電気的にはバンド描像がよく成立し、アモルファスであることを忘れさせる材料になっているゆえんである。つまり、基本構成がしっかりしたユニットをフレキシブルなネットワーク状に繋げているところが、SiO₂の強さであるとみなすことができる。このことを考慮すると、現在SiO₂に関して問題とされていることは、上記のよい点の一部の欠陥が現象として顔を出し始めている部分といえる。あるいは基本ユニットとしての正四面体の構造自体が影響を受け始めているとみることができる。そこをいかに克服し新しい技術に結びつけていくかが、現在まさに酸化膜に求められていることである。現在、多くの問題が原子レベルまでにきていることは、それを解析していく際の物理分析の重要性がますます増していることを意味している。STMのようなきわめて高度な評価装置による多くの研究がシリコン表面を対象としており、このことが原子レベルの理解を広範に促進し、またその結果がシリコン技術に戻ってくるというのは、興味深いフィードバックである。
酸化膜は、単に薄膜化というだけでなく、SOI構造と呼ばれるようなSiO₂の上にシリコン層を形成し、そこにデバイスを作成してさらに高性能LSIを作ろうという動きの中でも重要性が増している。また、酸化機構をうまく使って新しい原理の超微細素子を作ろうという試みもある。これは、シリコンを酸化すると内部応力が高くなり、酸化レートが急に遅くなることを逆に利用して微細構造を作ろうというものである。これによって、シリコン単一電子素子の動作が報告されている。あるいはシリコン超微粒子の酸化などにもこれはみられ、酸化技術はシリコンを使ってデバイスを作っていく中で今後も最も重要な技術であり続けることは間違いない。
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株式会社アルバック
CMDシリーズはSiH4やTEOSを用いたa-Si膜、シリコン酸化膜、窒化膜成膜用枚葉式CVD装置です。
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