半導体用語集

ストレスマイグレーション

英語表記:stress-migration

 Al配線とその周囲の絶縁膜との熱膨張係数の差が原因で,Al配線に応力が働きAl配線中のAl原子が移動する現象。応力は一般的には引っ張り応力であるため,移動によりAlが欠乏する個所ができ,抵抗増や断線といった故障が起きる。1980年代半ばに問題が表面化した。
 応力により金属原子が移動しては破壊するという現象は金属学の分野で古くからクリープ現象として知られていた。このような現象が,半導体デバイスの故障現象として表面化したのは,配線の微細化により配線の受ける応力が大きくなってきたことによる。
 ストレスマイグレーション(以下,SMと略す)という呼ぴ方は和製英語であるが,一般に通用するようになったので,ここでもそれを採用した。英語では,stress-induced phenomena,stress-induced voidingという使われ方をしている場合が多い。
 エレクトロマイグレーションと同様Cuなどの微量元素の添加によりかなり劣化を抑制することができる。最近ではTi,TiNなどをAlの上下に敷いた構造が多く用いられ,これによりSMに起因したAl配線の微小なスリット状の断線は,微少な抵抗増として現われるだけとなる。低応力の絶縁材料の使用もSM劣化防止に有効である。EMと複合的に起きる場合もあるので信頼性設計およぴ信頼性予測には総合的な注意が必要である。
 劣化の温度依存性は,一般的なアレニウス則に乗らない。その理由は温度依存性に正反対の二つの要因が効いているためである。一つ目の要因は,配線とその周囲の絶縁膜の熱膨張係数の差により発生する熱応力である。通常 400℃程度で最終熱処理が終わった時に応力は最低となっており,その後温度を下げることにより熱応力が発生し,温度が低いほど熱応力は大きくなる。二つ目の要因は原子の拡散である。これはアレニウス則に乗り,温度が高いほど大きい。この二つの要因があるため,劣化の温度依存性が最大になる温度が存在する。150~200℃近傍で最も劣化が激しくなる場合が多い。


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