半導体用語集
ドライ洗浄
英語表記:dry cleaning
ドライ洗浄は、ガスや光など液体を使用せずにウェハ表面を洗浄する方法である。大量の薬液や純水を使うウェット洗浄に代わり、ドライ洗浄を使用することは環境面・ランニングコスト面・処理時間の短縮などから魅力がある。金属汚染除去(金属汚染…メタルコンタミネーションともいい、イオン注入、ドライエッチ(ウェハまたはウェハ表面上に形成された薄膜の全面または特定した場所を必要厚さだけ削ること)などの製造工程から出るものや、洗浄で使用する処理液に含まれているものがウェハに再付着する)に関してはウェット洗浄よりも短い処理時間、高清浄表面をえられる技術(パイロケミカルクリーン…高温のHCIガス雰囲気でウェハを処理する方法、光励起ドライ洗浄…塩素を用い、光の波長により塩素を分解、分解された塩素がウェハと反応、処理を行う)は開発されてはいるが、特にパーティクル除去に関して、ウェット洗浄はど効果的な技術がまだ開発されていない。以下に、自然酸化膜除去、有機汚染除去方法について簡単に説明する。
自然酸化膜除去をウェット洗浄で行う場合、一般的にDHF (希フッ酸) を用いて行う。ドライで行う場合も、HFを使用して行う方法がある。Si表面は容易に酸化膜を形成してしまう。それを自然酸化膜と呼ぶが、金属との密着性を減少させるなどの悪影響がある。そのため、自然酸化膜を除去する必要がある。水分を十分低減したHFガス(無水HFガス)は一般的に石英(Si)と反応しないが、自然酸化膜表面に吸着あるいは内部の水分と反応し、 HFがイオン化すると自然酸化膜を工ッチングすることがわかっている。これを利用して自然酸化膜除去ドライ洗浄を行う。有機物汚染除去をウェット洗浄で行う場合、SPM (硫酸過水…硫酸と過酸化水素水を混合したもの)、 SOM (硫酸にオゾン水,純水を混合したもの)、APM (アンモニア過水…アンモニア、過酸化水素水、純水)などを使用して行う。ドライ洗浄で行う場合、酸素分子やオゾンを紫外線などを利用して分解(励起)し、その分解された酸素原子が有機物と結びつき蒸気圧の高いH20、 02、H2、CO、C02などに分解することにより有機物の除去を行う。
ドライ洗浄の利点は前述以外にも他の装置とのクラスタ化(異なるプロセスを装置内に組み込みウェハを装置外 に出さすに複数の処理を行う方法)など、ウェハ表面状態を清浄に保っために有効な方法であり、今後も研究開発が盛んに行われると考えられる。
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